1/72  先進技術実証機 ー飛行試験供試機ー作例2

1/72  先進技術実証機 ー飛行試験供試機ー作例2 オリジナルキット ATD_b1

実機解説は今回は一番下にあります。

*注:この記事を書いたのは2015年9月ですので、2016年に入って公開された情報は含まれていません。模型も2015年までに公開された情報から作ったものです。

HP内の関連リンク
デスクトップモデル仕様にした作例ここ→リンク(同じ窓で開きます、キット部品のみ使用した作例)
製品仕様のページここ→リンク(同じ窓で開きます、部品状態と塗装してない地上姿勢の写真あり)
製作の補足説明のページここ→リンク(同じ窓で開きます)
このキットの通販ページここ ネット通販ページは閉鎖しました。
このキットは生産終了しました。
海洋堂の「1/100 ATD-X 先進技術実証機」を分析する記事→リンク (同じ窓で開きます)
ATD-X 先進技術実証機を模型で解説する記事←同じ窓で開きます

キット解説>注:デスクトップの作例と大体同じ内容です。
このガレージキットは、ワンダーフェスティバル2015夏で初販売しました。自分のHPで通販もしています。
定価は7,000円+消費税です、ガレージキットを知らない人が見たら高いって思うかもですが、最近の1/72現用機プラモの価格を考えると、ガレキでこの価格ならむしろ安いと思うのよ? 買お?(´・ω・`)

当方「シープモデル」オリジナルのガレージキットです。このページの作例はキット付属品に加えて、ハセガワ製のプラモデル1/72 T-4とF-1を使って、キャノピーを透明部品にして、なおかつ地上状態として作ったものです。本機はもともと実機がキャノピーはT-4の流用、脚は前後ともF-1(T-2も同じ)からのほぼ流用です、なので模型でも流用できます。

機体のメイン部品は、機首・体と主翼・お尻と斜め垂直尾翼・水平尾翼2枚、で構成しています。脚庫カバーは地上用と飛行用(一体にした)の2種類が付属。キャノピーは不透明レジンのムクのものが付属しますが、別売りのハセガワ製T-4練習機のものを流用すると透明化することができます、コクピットは簡易的に表現していますので、T-4のシートが使えます。

地上姿勢とする場合にはハセガワorプラッツのT-2/F-1の脚部品を流用する必要があります。実機がほぼ流用なので形状的にはほぼOK。3灯ランプ部品は付属します、実機では主車輪のハブがT-2と違うみたいですがそこは妥協しました。脚の部品は作ってみて、メタルにしようとしたのですが安定生産の目処が立たずに失敗、レジンのみでは全くの強度不足、金属線インサートではまだ強度が足りず、プラキットからの流用だと普通のプラモ並みには安定したので、流用する仕様にしました。既存の1/72キットはレジン部品になってますが、あれほんまに立つんかいな‥って思いましたよ。本当なら全部付属させた方が格好がつくのですが、使えないレジン部品でごまかしても作る人が困るだけですので割り切った仕様としています、ご理解頂けますと幸いです。

デカール類は付属しません、これもT-4とF-1/T-2などから作り込み具合に応じて流用してください。ざっくり言えば、マーキングを再現せずキャノピー不透明の飛行姿勢なら本キットのみで再現可能、キャノピー透明化と主なマーキングを再現した飛行姿勢ならT-4を1個使えばOK、キャノピー透明化して地上姿勢ならT-4とF-1/T-2が必要という構成です。あと、スタンドは付属しません、穴とかも設けていません。

怒られるの覚悟で…
このキットはガチキットとして、実証機の”実機”を “ちゃんと” 再現しました。わかる人はわかると思うんですが、”ちゃんと”してない実機のガレージキットも存在します。黒色の実大模型のキットのキャノピー周りを変えて見本の色を変えただけみたいなキットが実際あります。どの程度再現するorできるかはキット製作側の自由っちゃ自由ですが、明らかに最初から再現する気が無くって名前と色だけ変えときゃ中身見ずに買うやろみたいなやりクチは、個人的にはダメやろと思うのです。だってそれを買ったお客さんは欲しかった機体のモデルは手に入っていないもの、ネーム詐欺みたいなもんです。そんな個人的には悪質だと思うキットを批判だけしても仕方ありませんので、代わりになるちゃんとしたのを自分で作りました。もちろん本機の画像は多くなく、特に後部と下面は殆どわからないので推定が入りますし、私の実力不足やガレキの成型の都合で形状が似せきれていない部分はあります。それでもできる限りの再現はしたつもりですので、写真や仕様を見て他ブランド製とも比較した上で購入して頂けると幸いです。1/144はガレージキットが複数あり良いやつもあるので、メインスケールの1/72で作っています。

あと、このキットのメイン部品の複製ができた日に知ったことですが、海洋堂から9月末に1/100で本機の完成品モデルが発売されます。まさかのワンフェス公式である海洋堂とのガチンコバトルで、知った時は気が遠くなりました…。あちらは有名メーカーでABS製の完成品ということで、こっちはモノ凄く不利。とはいえ形状の再現度では完全に勝ってる思うので、スケールのフィットもありますし、うちのキットも検討に入れてくださいね。

作例について
キットの付属品に加えて、ハセガワ製のプラモデル1/72 T-4とF-1を使って、キャノピーを透明部品にして、なおかつ地上状態として作ったものです。パテで継ぎ目処理、バリ処理と小穴埋めを行っています、デカールはハセガワのT-4とF-1に付属しているもののみを使っていす、日の丸は塗装です。

流用部品について。T-4からはキャノピーとシートとスティックとHUDと小さいアンテナ類とデカールを流用しています。F-1からは脚柱と車輪と脚部動作アーム(?)とデカールを少し流用しています。F-1の脚は取り付け部を少し切るだけで使用可能です。デカールはもちろん完全には再現できません、2個のプラモの付属デカールのみでやりくりして、この作例の状態まで持っていけます。デカールはほぼT-4メインで、F-1のものは目立たない所で少し使っているだけです、更に再現する場合はF-15等から引っ張ってきたり自作する必要があります。アンテナ類は大きい2枚はうちのキットに付属の物で、機首下部の小さいやつがT-4からの流用です。

細かい箇所では、主脚のライトはF-1とは違う3灯ライト(最近のT-4のもの)なので本キット付属部品を付けています。ピトー管はキット付属の針を使い、赤いヒレは付属のレジン部品で再現、縞々はT-4のデカールの赤帯を切って巻きました。

継ぎ目を消すのはそれなりに手間ですが、基本に忠実にやればきっちり仕上がるキットになっていると思います。塗装がグロスの白と原色なので下地仕上げで7割、塗装で3割が決まる感じです。キットが難しいというより、この塗装をガレキでやるのが難しいです(汗)。このカラーリングだとおもちゃっぽく見えるので、IF設定で制空迷彩とかにしてしまった方が楽だしカッコイイかも。ちなみにこの作例、脚をつけて塗装もした後で5cm程の高さからドスンと落としてしまい、主脚がちょっと曲がっちゃって無理やり曲げてだいたい元に戻してたりします(泣)。

とにもかくにも、このページの作例は完成見本用にシンプルに組んでいて、それでこの状態までは持って行くことができます。ネットに落ちてる画像は転載して良いか不明のが多いのでここでは載せませんが、この作例とネットに落ちてる実機の画像をじっくり見比べてみて下さい。形状をかなり再現できてるはずです。それから他所のキットや塗装済み完成品とも比べてみて下さい、親バカ補正を加味してもうちのが一番似てると思います。

写真は一眼レフで普通の照明で撮っています、明るさがマチマチなのは腕の問題。光量が十分でないし被写体が小さいのでスピードとかF値をいじるんですが、なかなか上手くいかないですね。いい加減に撮影ブース買おうかしらん…。大きさ比較をするのを忘れましたが、小さいといわれる本機でも1/72の双発ジェット機ですのでそれなりの大きさがあります。

キットの付属部品のみで作った作例や、キットの仕様も公開していますので、このページの最初のほうの関連リンクから見に行ってみてください。

このホームページ内の画像等は原則転載禁止としていますが、今開いているこの記事内の画像については、連絡無しでの転載をして頂いて構いません。ただし、必ず出典を明記して下さい(画像の出典:HP「ひつじ模型製作所」、と記載する程度でOK)、また虚偽の内容に使うのは禁止です(自分で作った~、って書くとか)。実機の画像がそれほど多くないので、代わりの材料にでも使って頂ければと思います。

実機解説>注:デスクトップ版の作例ページの説明と同じです。
先進技術実証機は防衛省技術研究本部が三菱重工を主契約社として開発している技術研究用機材です。プロジェクトのスタートは1991年で、2009年から実機の製造が始まり、飛行試験用1機と強度試験用1機の計2機が製造されています。2015年9月現在の情報では、実機は地上試験を実施しているとみられ、初飛行は2015年9月を予定と発表されています。

よく誤解される(時には意図的に…)ことで雑誌なんかでも毎回前置きされることですが、本機は戦闘機ではありませんし、戦闘機の試作機でもありません。本機の量産型や武装した型が製造されることはありません。なのでグレーの制空迷彩や洋上迷彩をした本機は架空の設定です。あくまで研究用の機体なので体格も小さく、ウェポンベイを設けるスペースは無いですし射撃管制用のレーダー&システムも積んでいません。機体の運用寿命も短いとのことで、予定通りにいけば2016年中に試験を終えて、その後は不明ですが飛行を続けることは無いと思われます。

本機の特徴としては、ステルス形状や推力偏向パドルや多機能センサなどがあります。「国産初ステルス戦闘機」と書くと大間違いですが、「国産初ステルス機」と言う称号はゲットしています(ライトプレーンの類は除くよ)。推力偏向パドルはお尻に付いているヒレみたいなやつで、これとコンピュータ制御により高運動性を実現する見込みです。なお、このパドルは本機だけのものではなくって1990年に初飛行したX-31という米独共同開発の実験機でも使っています。本機は正式名称が「先進技術」ということと、次世代機(第6世代)の選定に向けた研究ということで誤解されがちですが、本機自身が未来の第6世代級というわけではありません、技術的には武装関係と実戦用装備を全部とっぱらって出力を抑えた第5世代よりちょい下ぐらいの感じです(実験機と作戦機を比較する事自体ナンセンスかもですが…)。基本的には他国で実用化済みの技術を自分でやってみて会得しようという感じと思えば大体正解かと。

本機の名前はややこしく、正式が「先進技術実証機」で通称型式が「ATD-X」でATDは先進技術の略、よく使われる「心神(しんしん)」という呼称はプロジェクト初期に部内で使われたニックネームと言われており、現在では公式には使われていませんが、正式名称が長いせいか字面が凄そうなせいか雑誌などではやたら使われています。もっとも、空自の所管である浜松広報館でも小型の風洞模型が古いせいもあってか「心神」と紹介されており、公式が狙ってやってる感が無きにしもだったりします(汗)。プロジェクト初期の模型ならともかく少なくともこの模型の飛行試験供試機(実機)では「心神」という呼称は間違いになっちゃうので正しく呼びましょう。

本機は実験用模型などの個体が多くて形状が非常にややこしいことになっています。よくモデル化されるものでは、このページの飛行試験供試機(実機)とRCS実大模型(黒色のモックアップ)があります。この2つがよく雑誌などで写真が使われていて、以前からガレージキットの定番なんですが、この2つは形状がかなり違いますのでご注意を。キャノピーや水平尾翼の違いが目立ちますが、背中のラインや機首や斜め垂直尾翼の付け根やパドル周辺や主翼付け根やら、ともかく外形が同じ箇所は全く無いレベルで違いますのでRCS実大模型のキャノピーと色だけ変えたようなモデルを完成させても全然違うもんになっちゃうよ。


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