製作の補足説明 2「1/72 先進技術実証機」後編
製作の補足説明 2「1/72 先進技術実証機ー飛行試験供試機ー 」後編
このページでは、当方シープモデル製のガレージキット「1/72 先進技術実証機ー飛行試験供試機ー」を製作するための補足説明をします。キットを製作される方、購入を検討されている方はなるべくこのページを端から端までご覧になってください。作業の順序にあわせてステップ式に書いていきます。
ここは後編です。前編はこっちリンク (同じ窓で開きます)
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1/72 先進技術実証機の製品仕様 ←別の窓で開きます
海洋堂の「1/100 ATD-X 先進技術実証機を分析する記事」←別の窓で開きます
下地処理
本体の組み立てが進んだらサフを吹いて下地を整えます。言うまでもないですが、1回で綺麗にはなりませんのでサフ→やすりがけを何回か繰り返す覚悟をして取り掛かりましょう。左写真は大体整った状態です。赤矢印部分の繋ぎ目の周囲が一番整えにくいので、特に注意して見てください。このキット、便利なことに写真みたいに自立します、サフ吹く時なんかに便利なので置き場に注意した上で立ててやると楽です。
右写真、赤矢印のカバー周りのラインは、カバー部品との合い具合によっては汚くなりやすいので、場合によっては一旦ポリパテで埋めてから彫りなおしたほうが綺麗になります。写真では、一旦取り付けた主脚を折ってしまっています。サフ前に接着するのが強度的にも塗装的にも良いですが、取り回しが難しいことになるので、そのへんは選んでください。脚を折った場合は金属線での軸打ちは必須です。写真ぐらいまで面を整えられていればグロス塗装しても大丈夫です。
写真を撮っていないのですが、この灰色サフを吹いて表面が完成したら、次に白サフを吹いて下地にします。それからGXカラーの白を吹いて下塗りをして、本命の通常の白を吹きます。超面倒ですが、これぐらいしないと白が綺麗に発色しません。このキットで一番面倒なのがこの「白色の塗装→更に塗り分けする」ですので、面倒を避けたい場合はグレーの制空迷彩にしてしまうのも一つの手です。もともとの実機カラーがグロスの白赤青黒というトリコロールと言うよりガンダムカラーなおかげで、模型で再現するとオモチャっぽく見えてしまします。それを避けて見た目をよくしようと思うと、この実機カラーは避けたほうが手っ取り早いです。せめてツヤ消しにしとくぐらいはしたほうが良いかも。本キットでは形状をなるべく似せてあるので、実機の塗り分けをけっこうちゃんと再現できるんですが、再現しちゃうとダサく見えるので形状適当なキットが洋上迷彩とかしてるほうがカッコ良く見えちゃうという困った事になってます。なお、この実証機では対地(対艦も)攻撃は全く考慮していないっぽいので洋上迷彩にするとIF度が上昇します、とはいえどうせIFなので問題無い気はしますが。海洋堂の1/100完成品の洋上迷彩版がなんで下面を白にしてるのかは謎です。
塗りわけー1
塗り分けとコーション等のマーキングは実機写真を見て下さい、となるわけですが、多少は説明しろよって思われそうなのでピンポイントで細々とした部分の説明をします。あくまで私が見た感じこうだと思うという程度の情報ですので、実機写真を見た上でどの程度採用するかを判断して下さい。
左写真、青矢印の部分の水平尾翼の内側部分は縁が三角になっています。ここは上は白で下は赤と判断。他の縁は全部赤にしましたが、実機ではそもそも薄いのでこれは模型的な都合です。緑矢印、この塗りわけは、後端から6~7mmにします、前は前端と合わせます。黄色矢印、主翼の塗りわけはエルロンの線に合わせます。紫矢印、このパドル基部の出っ張りは赤色。橙矢印、ここは三角の面に合わせて塗り分けて、後縁は赤にします。
右写真、青矢印の尾翼の縁は赤にします、上と後ろは全部赤で、前は真ん中で塗り分けるぐらいの感じで。緑矢印、尾翼側面の赤は後面の三角面の端に合わせるようにします。ここの赤と白の塗りわけ部分ですが、実機写真だと機体側面後端の赤に挟まれた部分はもう少し白が細いように感じます、意識してみるといいかも。橙矢印、主翼の後縁は白で、主翼付け根の部分から本体側面の真ん中ぐらいで上下に塗りわけます。側面の塗りわけラインは尾翼でほぼ隠れるので大体で。側面、後面とつないだラインがパドル基部までつながっていくようにします。
塗りわけー2
左写真、赤矢印の部分は矢印の先っちょが機首先端から約13mmにきます。そこから斜め前方へと塗り分けていきます。緑矢印、青と黒との塗りわけは、直線的につながるようにします。青のラインがキャノピーの端に向かうようにしておくとよいです。黒色の後端はキャノピー後端から13mmくらいが目安で、丸く絞ります。青矢印、側面の赤はインテークの角と肩の縁に合わせます。
なお、日の丸は機体側面、主翼上面ともにだいたい直径5mmです、T-4とF-1のデカールだと合わないので、他から奪うか塗装します。クレオスの「Mr.マスキングシートまる・さんかく」には切り出し済みの直径5mmの丸が入っているのでそれを使うと便利です。
右写真、黒色の下側は赤矢印の部分で機首から約9mmで、上側からここまで繋いでやります。青矢印、下面の赤色は、主翼の膨らみの少し下を通って後部の膨らみまで繋げます。なお実機写真では主翼下面の日の丸はギリギリ確認できませんが、技本が作った1/32模型を見る限り下面にも日の丸があるっぽいです、上面と大きさは同じで白丸縁を塗れば良いと思います。面倒なのとはっきりとは確認できないので、自分のは省略しています。
塗りわけー3
左写真、青矢印の赤いラインの屈折部は実機写真で確認できます。緑丸のパドル基部の三角形の張り出しが写真で確認できて、その膨らみの前端で塗り分けていると解釈しました。このへん、パドル基部は見えるんですが膨らんだ部分の形状がはっきりとは確認できないので大体です。この作例だと赤色の下側に増えた部分の上下幅が大きすぎるようにも感じるので、膨らみの側面は白にして膨らみ上面だけを赤にしてもいいかもです。他のキットでこんなとこの塗り分けまで言及してるものは無いはずです、上手く塗れたら自慢しましょう(笑) ピンク線のあたりには赤色のラインが入っているので、ラインデカールなどで再現すると良いでしょう。何故かピンク線が変な向きになっちゃってますけど、それは無視してください。
右写真、塗り分けじゃないですが、全体のフォルムしついて少し。青矢印の機首側面のラインは機首に向かうにつれて真っ直ぐ下がっていくのが正解です、紙やすりをかける時に乱れないように注意。細いんですけど柔らかな面でふっくらとして見えるのが本機の機首の特徴、すごーく再現しにくいので大変でした。黄色矢印、機体下面は横から見ると基本的に水平で、黄色矢印のあたりで下に少し膨らんでいます。機首付近は上にカーブして、主脚庫の後ろから機体後部にかけては上方へと直線に近い感じで上がっていきます。橙矢印、主翼は横から見るとだいたい水平です。前側の付け根らへんは少し下がるように見えますが、このへんは塗りわけもあり、付近の面も複雑なので錯覚しやすく、はっきりとは言い切れないです。主翼を前から見ると微妙に先端が下がっているように見えます、ほんと微妙にですが。キットも微妙に先端が下がっていますのでそのままでOK。
この下から細かい部品やデカールの説明です(説明は写真の下)。
小部品とデカール
最後に細かい部品とデカールの説明をします。上の写真はギャラリーモードになって連続して見ることができます。写真の中にデカールと部品の番号を入れました、「T-4部D9」ならT-4の部品D9って意味で、デ68とかはデカール番号です。番号はハセガワのT-4(キットNo.D12)とF-1(キットNo.C3)のものを書いていますが、他のVerやプラッツのF-1を使う場合は写真と似たものを探して下さい。一部のデカールは切って使っていますので、作例写真や実機写真を参考にしてください。作例ではあくまで、T-4とF-1のものだけで最大限それっぽく再現しています、更にこだわる場合は他のキットからも流用するなどする必要があります。尾翼の番号と文字は合うものを探すのが難しいので、省略推奨です。
細かい部品の説明は不要かと思いますので、比較的大きいポイントを補足していきます。
・ピトー管について。実機写真で確認しづらいので目分量ですが、機首からピトー先端まで20mm、ピトー先端からヒレの前まで7mmで取り付けます。先に平らな所にピトーを置いてヒレを接着してから本体に付けたほうが多分楽です。赤い縞はデカールを切って巻くか塗装します。ヒレの周りには細いフレーム状のものがありますが、流石に省略しました。ヒレの前方は実機写真で確認しづらいですが、公開時には赤い布のカバーがしてあるように見えます。そのため素のカラーは不明、先端は無塗装で良いかと。針は危険なので、先端をヤスって鈍らせておいて下さい、また小さい子供さんやペットがうろちょろする環境の場合は取り付けないで下さい。展示会などで飾る場合にも、安全対策をして事故の無いようにお願いします。
・主翼の上の枠のデカール。T-4のデカールをなるべくめいいっぱい使えるように切って使用します。作例よりも横幅を狭くしたほうが良いので、機体内側のラインはそのままで外側のラインを2mmほど内側にしてください。歩行帯で定番の「NO STEP」は書かれていないようです。
・脚カバーの内側。ここは実機写真を見ると赤くなっています。ただし、どの範囲まで赤いのかは不明。作例ではカバー内側は全部赤にしました、無視して白でも違和感は無いので構わないと思います。公開時の写真では主脚収容部に赤い布のようなものが見えていますが、多分ただのカバーなので無視で良いかと。
・機首下のブレードアンテナ。適当に接着してしまい後で気付いたのですが、実機だともうちょい前です。その他の小さい部品も位置と形状は大体です。機首にあるヒゲみたいな銀色のトゲ(圧力計とか)を再現する場合は、ツマヨウジを数本シルバーで塗ってから切断し、上手くいったのを選んで貼ると良いかと。
・コクピットについて。実記の画像は、組み立て途中のはありますが完成時は無く、計器板や座席は不明なので想像して好みで作って下さい。情報からの自分の想像ですと下記の感じ。
計器板は大型液晶2個があるらしいが横に2個か縦に2個か不明、液晶自体はF-2の流用で、全体は流用ではないと思う。スティックはサイドかセンターか不明、イマドキなのでサイドが有力かも。HUDは全く不明だが、武装もないし最低限の物でいいはずなのでT-4からの流用かと。座席はキャノピーがT-4の流用なのでT-4と同じになるはず、テストしていない組み合わせをあえてやるとは思えませんゆえ。座席の頂部でキャノピーを突き破って射出するタイプですが、ハセガワの座席は頂部のキャノピー破砕用のフレームが省略されてるので、こだわる場合は適当に自作するとOK。
・機体下面の黒い四角について。地上姿勢の作例でのみ塗っている黒い部分、これは下方用のAESAレーダーと判断しました。ここは実機写真で見にくいですが黒い四角がギリギリ見えます(ボカシ等ではないと判断)、また実機製造開始時の「鋲打ち式」の写真で写っている構造材がこのへんのもので、機体下部中央が切り欠いてあり何かを搭載していることが想像できます。形状がはっきりしないのでモールドはしていません、作例での大きさ&長さはパースのきつい写真からの目分量なので大体です、省略しても構わないと思います。実機写真では黒い四角なだけですが、透明カバーとかがあったり、公開時は何か貼って隠してたけど実は端がギザギザしてるとか色々あるかもしれません。モールドを省略しておいて言うのも何ですが、技術的に見たとき本機の一番重要な部分はステルスでもパドルによる高運動性でもなく複数の高性能レーダー(当社比)を同時処理する情報処理能力だと個人的には思いますので、ここを再現して自慢するといいと思います(笑)
・車輪について。ついでに車輪について、ハブのパターンは厳密にはF-1とは違っていますが妥協して下さい。F-1は放射が9条ですが本機は11条か12条(はっきり見えない)です。タイヤ自体はF-1と同じとみて間違いないと思います。スミ入れはエナメルが侵食してしまうと強度が不安なので、ペテロールを使ったり、接着部から離して最低限で済ませたりして下さい。
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以上で補足説明を終わります。夏ワンフェス後すぐやると言いつつ随分と涼しくなってしまい、申し訳ありませんでした。このキットを買うレベルの人なら説明抜きでも大丈夫だろうと思いつつ単純に作業を先延ばしにした結果でございます。
不明点があった場合はもちろん、キット製作時に気付いた点や完成した作品の画像等、お気軽にご連絡頂ければと思います。
色々と言われることが多いですが模型的にはカッコカワイイ実証機さん、あれこれ想像しながら楽しんで製作していって下さいね。
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