1/72 三式戦闘機Ⅱ型改 ファインモールド
1/72 三式戦闘機Ⅱ型改 キット/ファインモールド製
陸軍航空審査部 飛行実験部戦闘機隊 17号機<実機解説>
三式戦闘機Ⅱ型改は大戦末期の日本陸軍の戦闘機で、Ⅰ型のエンジンを換装して各部をリファインしたものです。もともと生産&整備に問題のあったエンジンを拡大発展させた為に、性能は良いもののまともに生産できない&可動率が特に低い機体となり、エンジン生産の遅延からエンジンの無い「首なし機体」が大量に溜まってしまい空冷エンジンへの換装=五式戦の開発へと繋がることとなりました。改じゃないⅡ型は8機の試作で開発中止となったもので、エンジンのほか主翼も新しくなっていましたが性能が不十分であり、後に主翼をⅠ型のものに変更したものがⅡ型改として正式化されました。見た目ではわかりにくいですが、武装配置はⅠ型丁とⅡ型改と五式戦では機首が20mm主翼が12.7mmで、Ⅰ型丙の機首が12.7mm主翼が20mmとは逆になっています、これは同じ20mmでも搭載機銃が異なるため。Ⅱ型改として完成したのは99機と言われており部隊配備もされましたが、運用できた部隊はほとんど無かったらしく、航空審査部の機体だけが恵まれた整備環境のおかげもあって真価を発揮して迎撃戦闘に活躍しB-29の撃墜記録を挙げています。
<キット解説>
ファインモールド(以降、FM)のキットで、ファストバック型のほうです。以前は涙滴風防型もありましたが廃版になったみたいで、そっちは今ではプレミア価格がついています。FMの三式戦Ⅱ型改は元々はFM黎明期にハセガワのⅠ型丁の主翼などを使ったキットとして出ていたもので、あまり昔のことは自分もわかりませんがハセガワ扱いでハセガワ製の説明書入りで流通してた時期が結構長くあったはず、白黒パッケージのやつはその時代のものですので、主翼とかが現行品と異なりハセガワⅠ型丁のものになります。このため現在でも、主翼などはⅠ型開発時に作られた新しい金型で胴体は昔からの金型というチグハグな構成になっています。おかげで部品の合いは悪く、隙間がかなりできる部分があります。
キットの付属品は増槽とタ弾で、デカールはどれもシルバーの機体で機番違い2種と推定による56戦隊の尾翼マークのもの1種、見た目は大差ないです。機番17はアメリカに渡って現在は知覧特攻記念館で保存されている機体です。歩行帯やナムフのデカールは色違いが付属するので、好みで選択できます。
<作例について>
説明書そのまんまで作っています。味方識別帯はおおちゃくして主翼はデカール、脚カバーは塗装にしましたが、どっちかに統一したほうが良かったなと少し後悔。ツヤ消しクリアーを吹いたのでシルバー感は落ちていますが、酸化だと思えばこんなもんかと。とにかく隙間がやっかいなキットで機首上部のはかなり大きいのでプラ板で補修して、主翼と胴体の隙間もプラ板で塞ぎました。ヒケも胴体側面のものは目立つので修正が必須です。ついでに垂直尾翼前縁はかなり厚いので何とかしたいところ。いかんせん全面シルバーなので、本気で完璧に作ろうと思うとけっこう大変だと思います。
この作例では、脚柱の部品を紛失してしまって、代わりにストックから昔のパッケージの五式戦に付属しているメタル脚柱を使っています。このメタル部品、廃版な上にブレーキパイプが再現してある等の凝ったもので、かなりもったいない事をしている気もしますが部品請求するより安くつくので使っちゃいました。ブレーキパイプは他とそろえるために塗っていません。
三面図とかではⅠ型と大差ないように見える本機ですが、立体で見ると機首の印象が大きく異なることがよくわかり、やっぱり模型はいいよねって改めて思う次第です。