1/72  MiG-29 (9-13) ズベズダ

1/72  MiG-29 (9-13)  戦闘機  キット/ズベズダ製
ロシア空軍 Bolisoglebskトレーニングセンター所属機  2001年夏MiG29_1<実機解説>
MiG-29 戦闘機は現代のソ連/ロシアの戦闘機で、Su-27系などと合わせて現在のロシアを始めとする東側陣営の主力戦闘機です。NATOコードは「ファルクラム(フルクラムとも)」、母国での愛称は「ラーストチカ」で「燕」のこと、確かに平面形が飛んでるツバメによく似ています。大型で広域運用が前提のSu-27系と違ってMiG-29では局地運用を前提に小型軽量で運動性に優れた機体を目指した設計となっています。アメリカのF-15/F-16のハイ・ローミックス構想に似ていますが、こっちは主目的の異なる戦闘機を2つ製作したらこうなったって感じ。なのでソ連崩壊後の軍事費削減により単価は高いけどカバーできる任務が広いSu-27系を主に配備したほうが良いという考えになってからはMiGは生産数が大きく減ってしまいました。
原型機の初飛行は1977年で1983年から部隊配備が始まっており、当時は冷戦の最中で能力は謎でしたが、おおむねF-16相当の有力な機体と思われていました。ソ連崩壊後は東ドイツやモルドバに在った機体が西側の目に触れたり転売されたりしたおかげで性能が明らかとなり、レーダーや電子機器の能力でF-16などに劣るとして従来考えられていたほどのものでは無いという評価がされています。それでも小型な割りに兵装搭載数が多かったり、性能が悪いとはいえIRSTを標準装備していたりと、運動性以外でも見るべき点はあったようです。

MiG-29系はロシア機のご多聞に漏れず型式が多くある機種で、大きくは機械式の操縦装置を持つ旧型とフライバイワイヤ方式になった新型に分けられます。型式はアルファベットが付いてるものもありますが、付いていないものもあって、(9-13)又は(9.13)と表記する”規格”によって区分されます、パソコンやスマホのOSバージョンだと思えば大体正解。もっとも、規格や型式が同じでも輸出先によって能力が違う場合が多々あるので能力は一定ではありません。模型の(9-13)規格のものは旧型で、最初の(9-12)の背面に膨らみを設けて燃料搭載量を増やしたものです、ファルクラムCとも呼びます。新型の(9-14)以降のものは操縦系やアビオニクスの変更で性能が大幅に向上していると見られ、第4+世代とみなされています。この新型は中小国のMiG-21系の老朽化に伴って、代替の小型戦闘機として輸出&配備が進んでおり、一時は途絶えるかに見えたMiG-29の生産&配備は近年増加してきています。

<キット解説>
ズベズダのキットで、2016年発売の新金型キットです。新しいし母国だけあって流石に出来は良くって、現代的な仕上がりになります。スジ堀りは繊細で、細いのはいいのですがやや浅すぎる気はします、スミ入れはちょっと消えやすいです。合いは基本的によくって、吸気口~排気口の膨らみ部分ががっつり分割されていますが案外簡単に処理できます。主翼端と操縦席の横の部分で合いがイマイチなので、ここは注意してパテで処理する必要あり。透明部品は少し変わっていて、材質が普通じゃなくって最近のガンプラのビームサーベルなどで使われている柔らかい樹脂になっています。形状はいいしヒビが入らないのは良いのですが、やや曇って見えます、かといってコンパウンドで磨いたら柔らかいせいか余計に曇ってしまったので、磨くのはやめたほうがいいです。機首の重りは5gが指定されていて、レドームに鉛をめいっぱい入れる必要があります。デカールは多すぎるぐらい附属するので、好みで減らして使うと良いかと、薄くて発色も良いのですが、カールしやすいので注意が必要。組むと機首がやや上がった姿勢になるので、兵装を積むならこんなもんですが何も積まないなら上向きすぎなので首脚を調整したほうが良いかも。

キットの仕様について。デカールは3種類で、作例の他に色が同じで迷彩パターンが違って機種にのみ個別のマークが入るものと、灰色の2色迷彩で撃墜マーク風なマークとシャーク付き主翼や尾翼に派手目なデカールでの塗りわけありのもの、です。附属物は豪華で、吊り物がR-27R×2、R-73(E?)×4、R-60M×4、S-24(B?)ロケット弾×4、FAB 500M62爆弾×4、1,500l増槽×1、1,150l増槽×2とそれぞれのランチャーとデカールが附属。珍しいのが、吸気口と排気口に付ける赤いカバーと、車輪止めが附属します。フィギュアはPAK-FAなどと共通の搭乗時・立ち姿が1個ずつ附属。また操縦席が1個余ります、流用に便利。
本体部品は、肩のインテークは閉じた状態固定で、彫りが弱いので強調するといいかも。動翼は全て固定。脚は飛行姿勢にも組めます。キャノピーは開状態にも組めます。ちなみに、箱はボール紙の箱の外側に化粧箱を被せる方式です、積むのに便利(笑)。

本キットとほぼ同時にトランペッターからもMiG-29が出ましたが、あっちは(9-19)でぱっと見は同じですが新タイプです。どっちも一長一短で価格も一緒って感じらしいですが、型式の違いとトラペのは肩の吸気口が開いた状態固定なので、その差で選べばいいかと。正確さはよくわかりませんが、どっちも細かい部分での間違いはあるようです。また、前から定番だったタミヤ/イタレリのキットも悪くはなくって、凹モールドですし全体の雰囲気は十分良いキットです。脚周りを中心に密度の差はありますが、およそ3倍の価格差を考えると特に拘らずにMiGが欲しいならこれを選ぶのも良いと思います。

<作例について>
案外さくさく組めて、微妙な起伏も表現してあるいい感じのキットでした。どのみちロシア機の細かいことはわからないのでストレ-トに組んで、塗装もどぱっと吹いています。塗装指示がハンブロールなので自分で写真を見ながら調整しました。機内は青味がかった明るいグレー、灰色は明灰白色+RLM78ライトブルーを少し、緑はロシアングリーン1+白に適当な緑少々で頑張って調整。脚庫やカバーを塗り分けずにすむので簡単でした。イタレリ製に比べて高いのが難点ですが、細部の表現はさすがに違いますし、附属品を使ってビネット仕立てにすれば更に楽しめる好キットだと思います。今回、ちょっとピンボケ写真多いです(汗)


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