1/72 九七式艦上攻撃機12型 エアフィックス
1/72 九七式艦上攻撃機12型 キット/エアフィックス製
海軍 飛龍攻撃機隊 友永丈市大尉機 1942年6月<実機解説>
九七式艦上攻撃機、略して九七艦攻はWWⅡの日本海軍の攻撃機で、零戦・九九艦爆と共に大戦初期~中期の空母艦載機隊の主力として活躍しました。特に真珠湾攻撃での戦果は大きく、現代のマニアからは併せて真珠湾トリオとか呼ばれたりもします。
1937年の制式化とトリオの中では一番古いですが、太平洋戦争開戦時の他国の同規模攻撃機と比較して近代的で性能的には抜きん出ていました。設計的にはオーソドックスな金属製・引き込み脚・低翼単葉機で外観上の大きな特徴はありません。外観ではわかりにくいですが主翼付け根に燃料タンクを持ち、航続距離が比較的長いのが特色です。
名称は少々ややこしく、キットのタイプは九七式三号艦上攻撃機(三号艦攻)とも呼び、後から規定の変更で12型の名称になりました。一号艦攻(11型)は本機の最初のタイプでエンジン径が大きく機首が太いのが識別点です。まぎらわしいのが九七式二号艦攻(61型)で、これは本機(中島製)とは別モノの三菱製の競合機です。競合で中島機に敗れたものの制式採用されて120機ほど生産されています。この二号艦攻は以前、簡易インジェクションでプラモが出ていてハセガワの取り扱いで流通したこともありますが、現在は入手困難です。本機の連合国側での呼び方は「KATE」で、キット名の表記も「NAKAJIMA B5N2 “KATE”」となっています。
作例のマーキングは艦攻隊の指揮官として特に有名な友永大尉の機体で、ミッドウェー海戦の時のものです。ミッドウェーの戦いで友永大尉率いる飛龍攻撃機隊は米空母ヨークタウンを撃破して一矢を報いますが飛龍を含め日本海軍は空母4隻を失い、友永大尉自身も未帰還となりました。
ちなみに、ゲーム「艦これ」の装備「九七艦攻(友永隊)」の絵は作例の機体です。
<キット解説>
エアフィックスの新しいキットで、F4Fとのセットになった「ドッグファイト-ダブル ~ギフトセット~」版を作っています。新発売時に買い逃してたので再生産で買ったやつです。新キットだけあって基本的によくできています。
セット版の説明をすると、内容物は艦攻1個、F4F1個、筆2本、接着剤2個、ハンブロールの水性塗料10個(プラ容器入り,各5mlくらい)、2機対応のスタンド(黒色、汎用品)、説明書、です。大きくて丈夫な箱入りで、価格はバラで2機買うより僅かに高いだけなので2機+筆2本のつもりで買えば損はしてないです。ハンブロール塗料は日本では普通は使う人いないと思う。デカールと説明書はバラのではなく専用のもので、デカールはミッドウェー海戦時の友永機とサッチ少佐機(F4F-4、2色迷彩)がそれぞれ入っています、各1種で選択肢はありません。バラの通常版には無いデカールなので、両方エース級を作りたいならこのセットはアリです、逆に真珠湾の艦攻を作りたいなら通常のバラのを買いましょう。説明書は一体になってるので、二人でシェアするなら工夫しましょう。
キットは2015年発売で、今まで1/72はハセガワ(元はマニア社製)のキットしかマトモなのが無かったので、ヲタ一同バンザイした製品です。当初CGが発表されたときは機種が細過ぎると言われましたが、出来上がったのを見た感じプロポーションは問題なく、機首も良いと思います。腹側のディテールがハセガワの48などと異なる部分があり、自分では調べてないですが間違いがあるのかもしれません。全体に合いは良いですが、腹に段差が出来るのと、動翼や排気管の部分で干渉するとこがあるので、仮組みしながら解消してやると綺麗に組めます。
付属物は豪華で吊り物は、魚雷1本/框板(きょうばん)の有無を選択可、800kg陸用爆弾1個、800kg徹甲爆弾1個、250kg爆弾1個、60kg爆弾6個、と各取り付け具が付属します。なぜか250kgは1個のみですが、めぼしいパターンを全部作れるのは嬉しいところ。キャノピー部分は、全閉、後部のみ開、全開、から選べます。ただし、自分のやつは後部のみ開の部品は製造上のキズがあって使えなかったです、昔よりは遥かに良いですがやっぱりエアフィックスは透明部品の生産管理が苦手みたい。あと乗員も3体付属しますが、真ん中の人は顔が大きなキズで潰れていて使えません。
他の仕様は、主翼は折りたたみ状態でも組めて、その場合は自分で部品を切断して付属の断面部品を付けます。各動翼は下げ状態にも組め、下げフラップは専用部品。ただし分割した分、上げ状態にする場合は要すり合わせ。脚は上げたときの部品も付属して飛行姿勢にできます。後部機銃は展開・収納の選択式で、カウルフラップも開閉選択式。一号艦攻も出てるので機首は別部品になっています。モールドは当然ながら凹です。
<作例について>
塗装以外は説明書そのまんまで作っています。機内は調べるのが面倒なので適当に塗りわけて、適当なベルトを追加しました、内部はあんまし見えないです。魚雷の牽吊ワイヤは無かったのでそれっぽく自作しています。お腹のディテールは間違いもありそうな気はしましたが、面倒なのでそのまま作りました、魚雷を逃がす細長い窪みは無いのが正解だと思う。魚雷はそのままだと機体にくっつき過ぎな感じだったので調整して接着しています。透明部品は側面の窓のヒケが大きかったのでマイクロクリスタルクリア(液状の透明部品修復材)で緩和させています。塗装はキット指定だと下面が明灰緑色だったのですが、昔のHJ誌のちょーだいおじさんを参考にしてグレーを混ぜたシルバーにして布貼り部分を塗りわけています。機内色はMr.の319がいいみたいですが、無かったので適当に混ぜました。いかんせんハンブロール指示だし細かい指示は無いので塗装は自力で選択しましょう。汚し塗装は軽く留めて、決戦に備えてお化粧直しをしたという脳内設定でハゲ表現はしていません。デカールは品質がいいもので、調べるのは面倒なのでキット指示に従っています、機首の白線は無いのが正解かも。
細かい部分では間違いがるかもですが全体の雰囲気がとても良いので、飛行機モデラーなら必作の好キットです。セット版の最大の欠点は2個作らないと1箱片付かないところかも。ギフト用のプラモセットがあるあたり、英国人は流石だなぁと思ってみたりもします。