1/72 F4F-3 ワイルドキャット ハセガワ
1/72 F4F-3 ワイルドキャット戦闘機 キット/ハセガワ製
アメリカ海軍 VF-3 エドワード・H・オヘア大尉機 1942年2月頃<実機解説>
グラマン F4F 戦闘機は大戦中のアメリカ海軍の戦闘機で、太平洋戦争初期の米海軍の主力戦闘機です。開戦の一年前頃から部隊配備が始まり当初はヨーロッパに回されていたため太平洋での開戦時の数は少なく、F2Aバッファローや陸軍機らと一緒に優勢な日本軍機を相手に苦戦をすることになりました。もともとF2Aとの競合に負けたものをリファインして開発された機体でしたが、意外なほどよく纏まっており同時期の陸上機と比べても引けをとらない戦闘機となっています。直系の発展型であるF6Fヘルキャットの登場までは海軍戦闘機隊の主力として艦載・陸上両方で活躍し、F6Fの登場後も小型の護衛空母用に改修されたタイプが船団護衛や上陸作戦支援などでよく働き、終戦まで第一線級の活躍を続けました。ワイルドキャットは山猫や野良猫の意で、本機とF6Fが成功したせいなのか、F-14トムキャットまで合衆国海軍ネコ戦闘機が続くことになりました。
戦後長いこと日本のマニアの間では零戦相手のヤラレ役といったイメージで語られて不遇を囲っていましたが、近年冷静に見直されるようになってくると極端に劣っていたわけではなく、むしろ大戦冒頭の状況で善戦しており兵器としては零戦より優秀という見方をされる事もあります。
運動性では極端すぎる零戦にこそ負けるものの欧州機とは互角以上、航続距離も零戦には劣るものの十分長い部類、速力は零戦と互角、兵装は強力な部類、防弾と無線機も十分、飛行特性も悪くなく、最大の利点として4型では主翼の折りたたみ機能により搭載数を稼げる、といった具合でして、3型(折りたたみ無し)ならともかく4型では零戦各型よりも優秀だと個人的には思います。
作例の3型は最初の量産型で、主翼の折りたたみ機構が無く、機銃が4挺(4型などは6挺)でエンジン出力が小さいタイプです。初期不良が残っていたことと太平洋での開戦の少し前に4型が出来たことから純粋な3型は生産数は少なかったですが、ウェーキ島の戦いで奮戦し駆逐艦”如月”を撃沈する活躍を見せています。
オヘア大尉はアメリカ海軍最初のエースとして知られる人物で、これまた有名なエースのサッチ少佐の右腕として海軍の戦闘機戦術の発展に貢献した人物です。作例の機体は時期からして、オヘア大尉が1942年2月に日本の九六式陸上攻撃機を1度の戦闘で6機撃墜した時の機体だと思うんですが、確証は無いです。
<キット解説>
ハセガワのキットで、1990年代の72大戦機キットを盛んに開発してた頃のやつで現在はたまにデカール変えで販売されるのみです。作ったのは1996年発売のエアロマスター製デカールが付属した「F4F-3 サッチ&オヘア」というバージョンです。ハセガワらしいきれいな凹モールドのキットで、脚部や操縦席もこのサイズでは十分な感じです。デカールは限定版なのでハセガワのくすんだやつじゃなくって発色のいいもので、サッチ機とオヘア機が各1種付属しますがそもそも同じ部隊なので見た目はほぼ一緒です。付属物は増槽が2個ですが、F4Fはあまり増槽を使わなかったっぽい。オーソドックスなキットなので各部の開閉や動翼の上下は選択できません。
F4Fは48ならタミヤ、72はこのハセガワ製があって安泰でしたが、エアフィックスから新キットが出たので無理してハセガワ製を探さなくてもよくなりました。ハセガワ製は作りやすさが売りで、少し細身です。エアフィックス製は脚部の細かさやパネル表現の豊かさと折りたたみ再現が売りでプロポーションもより実機っぽい感じですが、欠点としてハセガワ製よりは組みにくいのと透明部品にキズがある可能性が高いってのがあります。どっちも折りたたみ機構つき主翼なので3型などにする場合は要改造となります。
<作例について>
エアフィックス製と比べるべく並行して作ってたら簡単なこっちが先行して完成しました。特に改造などはせずに作っていますが、キットは折りたたみありの主翼なので、説明書の指示に従ってモールドを埋めたり掘ったりしています、これでも完全な3型ではないっぽいです。埋め立て工事は面倒ですが、普通に作るなら簡単なキットです。塗装は専用色を使ってるので楽に再現できました、尾翼のストライプや星はデカールですが、エアロマスター製なので綺麗に発色しています。
せっかく持ってるので、よく間違えられた零戦32型と後継機のF6Fと並べてみました。32型は上からだと確かに似てるなと。F6Fって比べてみるとこんなに大きいのね。