ガレージキットの作り方 細かいこと

ガレージキットの作り方 細かいこと

このページはガレージキット(特にスケールモデル)を作り慣れていない人むけに、基礎よりも微妙に踏み込んだ工作について説明するページです。ベテランの人は普通に知ってる内容ばかりですが、TOGⅡを作る人は流し読みくらいはしてみて下さい。やたら時間がかかっちゃうとかイマイチ自信が無いって人は読んでみるといいことあるかも。書いてるのはワンフェスディーラー「シープモデル」の中の人です、なので自分とこのキットを使って説明します。あと、おもいっきし主観で書いてるので意見には個人差があります。

*目次*(ジャンプ機能はないです)
・工具の話
・隅っこの不要部分の除去
・欠けたモールドの修復について(予備を使う場合)
・欠けたモールドの修復について(小さい場合)
・欠けたモールドの修復について(プラ材を使う場合)
・表面処理について
*目次ここまで*

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*工具の話*
基本的な工具についてはここで書いても仕方ないので、特に使ったほうがいい(と思う)のに意外と使ってなかったり知らない人が居る気がする工具について触れます。

左写真。上からデザインナイフ(アートナイフ)、デザインナイフの平刃、ニッパー、小型の平刃の彫刻刀(平ノミも基本一緒)です。
デザインナイフ:言わずもがなですが、一番使う工具です。刃が鈍ったら交換してね。

デザインナイフの平刃:平刃の彫刻刀でも基本一緒、写真のオルファ技研のは片刃タイプです。刃先だけで売っていて安いものなので、使ってない人は買おう。モノはオルファ技研の「アートナイフプロ替刃(平刃)【XB157H】」ってやつね、市価300円~380円くらい。特に1/35の戦車プラモを作るなら必須と言える工具で、凸モールドを削り取るのに重宝します。柄は刃が入れば何でもよくて、”プロ”じゃないデザインナイフでも使えます。

ニッパー:これも言わずもがな。注意したいのは「ニパ子」のような高級ニッパーでガレージキットのごん太ランナーを切っちゃダメってことぐらい。何だかんだでボロいニッパーが一番出番多いです。

小型の平刃の彫刻刀:使って欲しい工具その2。写真のはGSIクレオスの「Mr.精密彫刻刀用替刃 細平刃【GT75B】」というやつで刃先だけで1本で市価600円~1,000円、これがオススメ。専用の柄はけっこう高いので自分は刃先だけ買ってそのまま持って使っています。刃幅は1mmで両刃、軸はただの丸なのでピンバイスでもチャックできます。このサイズのものは他の工具での代えがきかない場合が多く、有ると無いとでは可能な工作に差が出るので持っておきましょう、特にうちの1/35 TOGⅡを綺麗に楽に作るなら必須です。上の幅が広い平刃と合わせて持っておいて使い分けましょう。

というわけで、刃物で強調したいのは「平刃を持っとけ」ということ。ナイフと同じだと思ってる人がいるかもですが、基本的に「引いて切る」ナイフに対して「押して切る」彫刻刀の類は別の工具です。使ってない人はともかく使ってみましょう、工作の幅が一気に広がるよ。

続いて右写真。リューター(ルーターとも)、スポンジやすり、紙やすり、ナイロンブラシです。やすりがけ用の道具の類、もちろん他にも金属の棒やすり各種もありますが省略。
リューター:電動の回転工具ですが、持ってたり持ってなかったりすると思います。プラモを作るだけなら必須ではない工具ですが、ガレキの原型を作るなら必須の工具。なくてもいいけど時間短縮になったり、これがないとできない作業もあるので模型を長くやるなら欲しいところ。実は大して高くなくって、スピード調整可能でアダプタ付属の交流電源式で本体が6,500円くらい、ビット(先っぽ)は百均でも売ってます。ダイヤモンドの粗く削るビットと、もう少し細かい砥石と、ダイヤモンドカッターがあるとだいたい事足りる感じです。模型用を買わずにホームセンターで売ってる安いのでいいと思う、自分のは「(株)高儀 EARTH MAN ハイトルクミニルーター R-8 2525ai 」ってやつで6,500円ほど、これで十分いけます。つか模型誌が紹介してるやつは大抵高いし。電池式のスピード調整できないやつはイマイチ使えないのでやめとこう。

スポンジやすり:意外と使ってない人が多そうなのがこれ。必須じゃないですけどガレキを作る場合はあるとかなり便利ですし、プラモでも使います。単純に言えばやすりとして使えるスポンジです。似たものでメッシュやすりとかもあります。曲面への追従性が紙やすりより断然良くって、余計なエッジが立たないのが利点です。工作用では#1000~1500程度を一枚持っておけばOKで、研ぎ出しとかの特殊なことをする場合はもっと細かいのや粗いのも使います。特に使えるのは、女の子フィギュアの表面処理(ガチ曲面)、凸モールドが多い面の表面処理(モールドごとなでる)、飛行機の背中や主翼の合わせ目消し(紙だと面が立ちがち)、全体をざっとなでで油分を取る時、なんかです。模型ブランドからも発売されていますが、あれって中身は多分ホームセンターのと同じなのに微妙に高いのでホームセンターでの購入がオススメ(2016/07/27追記:現在はタミヤからも出てるので、それでも構いません)、「3M(すりーえむ)」ってメーカーのしか売ってないと思うので番手(#の数字)だけ見て選べばOK。

紙やすり:言わずもがな。番手をそろえて、必要に応じて「当て木」をしましょう。ガレキの場合、とりあえず大雑把に削る場面があるので#200くらいのも使います。うちの1/35 TOGⅡの平べったい部品の裏面を整える時なんかは、#200ほどを机に敷いてじょりじょりして下さい。基本工具ですが完璧に使いこなすのは案外難しい工具で、完成した時に模型の肌がいっつも汚いって人は多分この紙やすりの使い方が悪いパターン。ざっくり言えば「浅い傷を入れて深い傷をけす」という道具なので、「やすりがけすれば傷は消えるんでしょ?」って思っちゃダメ、やすり自身は「傷を入れる」ものです。番手や磨く範囲を意識しながら上手に使いましょう。

ナイロンブラシ:やすりじゃないけど登場。ガレキで薄いバリをとりあえず飛ばしちゃいたい時にけっこう便利。細かくて薄いバリってあちこち引っ付いて鬱陶しいので、ゴミ箱に手を突っ込んで部品をナイロンブラシで適当にゴシゴシすると掃除が楽。もちろん削りカスを取るのにも使えます。他の道具でもいいけど単純に楽なので紹介してみました。

IMG_8195 断面

*隅っこの不要部分の除去*
ガレキでよくある、隅っこにできる気泡や型の欠けで出来る不要部分の除去方法についてです。
左写真の刃先にある赤く塗った部分がそれなんですが、こういうとこはナイフと平刃彫刻刀を使います。右写真みたいに2方向(場合によっては3方向)から切り込んで丸ごととりますが、大きい場合は少しずつ刻んでいきます。工具は場合によりますが、Bみたいに不要部分まで距離がある場合、ナイフでは届かない場合があるのでそういう時は平刃彫刻刀を使って押して切ります。平刃が一番活躍するのがこの場面です。対象が大きくて周囲がクリアな場合は幅が広い平刃彫刻刀で一気にいくと楽ちん。プラモのスチロール樹脂に比べてレジンは柔らかいのでガレキには特に有効です。

*欠けたモールドの修復について(予備を使う場合)*
うちの1/35 TOGⅡにあるような、凸モールドが欠けてる時用に予備がある場合の使い方の説明です。特に、ちょっと複雑だと思う脚周りの大きい六角部分について説明します。

1枚目、欠けてる例。赤い部分が欠けていますが、六角の1箇所が無い程度です。これくらいならポリパテで埋めたほうが早いです。プラパテ(ラッカーパテ)はヒケるから却下。多く盛っておいて、ナイフで欲しい形に削ります、仕上げまでやすりは使わないほうが良いです。

2枚目、例その2。右の赤く塗ったとこに2個白丸が見えるところは、小さい六角が丸ごと欠けています。こういう時はナイフや平刃彫刻刀で残ってる突起を完全に除去してやってから、適当に刻んだ六角プラ棒を貼り付けます。窪んでるのをいちいち埋める必要はありません、上から貼りつければOK。
赤く塗った大きな六角部分はそこそこ大きく欠けています。これぐらいがパテでいくか予備と置換するかの境目です。

3枚目、欠けてる赤い部分を置換していきます。ひとまずニッパーでざっくり切り取ります。周囲の小さい六角ボルトは邪魔なので一旦切り取って、後から貼り直したほうが早いでしょう。

4枚目、平刃彫刻刀でならします。完璧に平らにする意味は無いのでざっくりでOK,やすりは使いません。

5枚目、予備部品をとりあえず大きく切り出します。

6枚目、今回は六角部分だけ欲しいので、六角の縁に沿うようにニッパーとナイフで切り出します。周囲は捨てるので、小さい六角も使う場合は先に切り取っておきます。

7枚目、そのままだと高さが高いので、横に倒してから欲しい高さ分だけナイフで切ります。

8枚目、これで部品はできたので後は接着剤を付けて本体部品に貼り付けます。こんな感じで基本的にやすりは使わずにナイフと彫刻刀だけでやってしまいます。その方が早いし綺麗。

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*欠けたモールドの修復について(小さい場合)*
特に小さい突起の場合について。写真のツマヨウジの先っぽにある赤いとこ2個は、小さな丸い突起が欠けてクレーターみたいになっています。こういう小さくてクレーター状になってる場合には、瞬間接着剤か溶きパテの濃いやつをツマヨウジでつけます。表面張力で盛り上がるように付けたら何もせずに固まるまで放っときます。まだ窪むようであればもう一度盛ります。固まった後は基本的にそのままで大丈夫です。必要なら紙やすりで少しやすります。

*欠けたモールドの修復について(プラ材を使う場合)*
戦車の六角ボルトみたいな突起をプラ材量を使って修復したり追加する場合について。うちの1/35 TOGⅡで多用するやつです、ちょっと細かく説明します。

1枚目、とりあえずプラ棒をみじん切りします。六角プラ棒はWAVEの1mmのやつで品番OM-371です。安くて大量に六角を作れるので重宝します。切り出しはいちいち厚みを測ったりせずに、目分量でザクザク切っていって、後から調度よさげなのを選って使います。

2枚目、見にくいですが切ったプラ材はナイフの先っぽで軽く刺して保持します。間違ってもこんな小さいものをピンセットで持とうとしてはダメ。ナイフの先っぽが折れてると刺しづらいので、その場合は新品の刃に交換すること。接着剤は本体と貼り付ける小さい部品のどっちに付けてもいいですが、ツマヨウジや針を使って適量を付けること。

3枚目、見やすいように写真は原型を撮影しています。こんな感じで六角を連続して貼ることがありますが、こういう場合はまずある程度高さの近い六角を適当に貼ってやってから、電動のポリッシャー(なければ紙やすり)を使ってまとめて一気に高さを整えます。間違っても一個づつ高さを測って削ってから貼るとかしちゃダメ、時間がかかりすぎます。写真のポリッシャーで軽くなでるようにしてやると、簡単にまとめて処理できます。写真のはGSIクレオスの「Mr.HOBBY Gツール Mr.ポリッシャーPRO [GT07]」です。必須じゃないけどあると便利。なお、リューターはこういう繊細な作業には向かないのでここでは使わないほうがよいです。

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*表面処理について*
とゆうかスポンジやすりについて。ガレージキットの場合、部品表面には僅かな凹凸があったり極小の穴があったり油分が残ったりするのでその話。

1枚目、表面処理の仕上げ段階です。特に何も加工してない面であれば無理に紙やすりを使うよりもスポンジやすりを使ったほうが綺麗な場合があります。写真の部品だと、何箇所かに小さい突起のディテールがありますが、スポンジやすりで軽くなでる程度であれば無視して丸ごとスリスリします。一切やすりがけしないよりも少しでもスポンジやすりをかけたほうが良くって、油分が残ってても削れて落ちたり、微細な傷を入れてやってサフの食いつきが良くなります。サフ吹きした後でも、表面を少し慣らしたい場合はスポンジやすりだけ使ってやったりします。

2枚目、女の子の生脚の場合です。後輩から預かってるフィギュアの脚を例に持ってきました。スポンジやすりは手で持ってやっても、机において部品を擦りつけても構いません、楽なほうでやります。この手(脚も)の部品はパーティングラインを綺麗に消したいわけですが、仕上げはスポンジやすりがオススメ。
順番は、1:まずナイフでざっと取ります、スクレーパーなんてのもあるけど別にナイフの刃or背中でカンナがけすりゃいいと思う、2:必要なら金属やすりでピンポイントで削ります、半丸がオススメ、なるべく使用は最小限で3:紙やすりで段階的に削ります、少し広く削ること、4:スポンジヤスリで、パーティングライン部分を中心に全体をなでて整えます。
ここでもスポンジやすりで全体をなでるのがポイント。紙やすりだとうまく曲面に追従できず難しいです。スポンジやすりで全体をくまなくなでてやると、不意にへこんでる部分があれば削り残しになるので発見しやすいです。また、極細かい気泡とかの穴があれば削りカスが入って色がグレーになったりするのでこれまた発見しやすいです、場合によりますが、その手の気泡はわざと少しナイフで広げてやってからパテ埋めします。

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とりあえずこれだけですが、キットを作っていて他にも気になるところがあればご連絡下さい。追加したりしなかったりします。


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