護衛艦 かが 見学 2017 in 呉カレーフェスタ

護衛艦 かが  見学 2017 in 呉カレーフェスタKaga_2

このページは2017年10月14日に海上自衛隊呉基地で行われた”呉海自カレーフェスタ2017″で一般公開された護衛艦”かが”の見学をしに行った記録です。”かが”の外観や内部の写真が見られます。

このページの写真はクリックすると拡大して左右の矢印クリックで連続的に見られます(スマホだとダメな場合あるかも)。写真に人が写っている場合は適宜隠しています、トリミングするの大変なので手抜きしてますがご勘弁を。並んだ写真の下の方に説明があります。

HP内関連リンク:(同じ窓で開きます)
呉の日曜一般公開のアクセス説明

呉の日曜一般公開の艦艇詳細説明

説明するまでも無いかもですが、ひとまず”かが”の説明から。
護衛艦”かが”は2017年に就役したヘリ搭載型護衛艦(DDH)です。”いずも”型護衛艦の2番艦で海自では最も大きい艦型です。”ひゅうが”型と合わせてDDH4隻体勢を維持する艦で、”ひゅうが”型よりは二周りほど大きくなってヘリ搭載数が増えており、代わりにVLSは装備せず個艦での戦闘能力は限定的なものになりました。
諸元は基準排水量約19,500トン、全長248m、全幅38m、吃水7.2mで見た目の通り他国の軽空母やヘリ空母ぐらいの規模の艦です。よくF-35などの搭載をするのか?空母なのか?といった話題になりますが、少なくとも現状では固定翼機(ヘリじゃない飛行機)の運用能力はありません。F-35Bのような垂直離着陸機でも不可能です。1回着艦するだけとかならできるでしょうが、甲板や機体を傷めるし整備も含めた運用は無理。通常は対潜哨戒ヘリのSH-60と掃海・輸送のMCH-101のみを運用し、陸自や米軍のヘリにも給油などは可能です。あくまでDDHは対潜水艦用の中枢艦で、ヘリを用いて広範囲の対潜哨戒・制圧を行う艦であり、防御的な性格の艦です。一般に”空母”としてイメージされるような航空機によって敵の水上艦や基地に大規模な攻撃を行う艦ではありません。

船体規模だけで見れば将来的な改造は出来そうにも見えますが、固定翼機のための諸装置を付けるとなると大改造になりちょっと可能とは思えません。
ミリオタ的には空母配備を望む声もあるわけですが、個人的に見た目やプラモのネタとして欲しいという意味では、気持ちはよくわかります。しかし現実的には外征部隊を組む可能性がまず無い(とゆーか憲法上無理)な日本の場合は空母を保有する意味があまり無いどころかコスパ的にデメリットが多く、空中給油機と早期警戒&管制機の数を増やすほうが効果的といえるでしょう。WW2のイメージで現代の空母や艦隊を語ってしまうと見当違いなことになるので注意しようね、空中給油機や艦載巡航ミサイルがある現代と昔じゃ大きく変わってるぞ。

ようやく本編です。この日は朝は小雨でしたが次第に晴れて、自分が見学した14時頃には雨は止んで曇りになっていました、写真が暗いのは天気のせいなのでご勘弁を。
説明はざっとするだけですが、写真をプラモ作る時の参考にでもして下さい。

最初のほうは岸壁から見た全景。以前いた”いせ”よりかなり大きく感じます。”いせ”は舷側が高いから大きく見えるって感じでしたが、”かが”は全長も他の護衛艦よりずいぶん長くなってます。
艦首には繋留索が繋いでありますが、ここはフタができるようになっていてステルス性や波浪対策がされています。
右舷側には舷梯と車両用ランプがあり、見学時は車両用ランプから出入りしました。普段乗員の出入りだけなら舷梯を使います。ここもフタがあるよ。余談ですが、海自艦では”おおすみ型””ひゅうが型””いずも型”は原則として右舷で接岸します。舷側の形状やランプの位置や艦橋の位置が理由で、そのほうが楽で便利だから。また呉では湾の規模と民間フェリーの多さから、艦首を陸地に向ける向き(頭からつっこむ形)の”入り船(いりふね)”で繋留します。他の基地では普通は非常時にすぐ出られるように艦首を海に向けた”出船(でふね)”で繋留します。プラモでディオラマとか作るならこのへんを意識してみるといいかも。
後部の舷側エレベータはこんな感じ。下げたらけっこう桟橋すれすれというか当たるんじゃないかな?。舷側エレベータは床面積より大きいものを扱えるのが最大の利点で、大型のMCH-101を運用するには便利なんじゃないかと。将来的に陸自のV-22オスプレイを運べるようにっていうのもあると思います。
最後のは”かが”じゃなくって輸送艦”くにさき”です。こんな感じでテントやステージが設営してあって、呉市内の「海自カレー」を扱ってるお店が揃ってカレーフェスタを毎年やっています。行くのが遅かったのでカレーにはありつけなかったよ…。

こんどは格納庫の中とエレベータです。
見学時はランプから入って格納庫をウロついて前部のエレベータで甲板と行き来する流れでした。
最初のは広報用の垂れ幕(?)と何故か乗員が叩く太鼓。”かが”は海自最大で最新の一つということもあり、広報に力を入れているようです。幕とかけっこう良い値段すると思うんですが、どっから予算ひっぱってんだろ?(笑) 格納庫後方では間仕切りのシャッター(左右にスライドする)を使ってプロジェクターで広報映像を流していました。まぁ半分以上が加賀の国の自治体PRでしたけど…。
あきらかにアレの加賀な絵はちゃんと契約か何かしてるらしく、あちこちに説明書きとかで置いてありました。全部同じ人のだったし記名もあるから公式OKのはず。

格納庫の中はよくわかんないし説明もメンドイのでざっと写真で見てください。何箇所か(確か3)に横スライド式のシャッターがあり、床に溝があります。前後端には作業車の収納スペースがあり、そのわきの天井に指揮所のような部屋があります。左側にのみ中2階のような通路があって、白い幕で手すりを覆ってありました。
後部の舷側エレベータはシャッターを開けてありました、航海中は基本閉めてるはず。

エレベータでの移動は一種のアトラクション感覚で、経験が無い人だとけっこう驚くみたい、おぉ~って声が上がってました。けっこう早くするする動きます、音もわりと静かです。見学時には落ちたりしないように、固定式のネットが張られています。普段の運用時には下げた時のみ穴の周囲にロープつきのポールが生えてきて簡易的に保護するようになっています。

次は飛行甲板と上部構造物を。
なんとなくでアングルはわかるかと。構造物は”いせ”とよく似てますが、細かい配置はもちろん違いますし発着艦指揮所は大きくなっているようです。ステルス化が進んではいますが、他国の新鋭艦に比べるとまだまだな印象。海自艦って諸国の新鋭艦と比較してステルス化が進んでない気がしますが、重要視していないのかやりたくても出来ないのかどうなんでしょうね。

飛行甲板の端っこはキャットウォーク(張り出し)があって救命筏とか消化設備があります。旗が写ってる写真が艦首で後は順に、艦首、左舷、左舷、後部右舷方向、艦尾、右舷、ヘリ。緑のネットは一般公開時に付けるもので、普段はありません。

ヘリは哨戒ヘリのSH-60Kです。護衛艦は普段の入港時にはヘリを搭載しておらず、航空基地に帰しています。この日は見学用に載せてましたが、一般公開時でも居ないことはあります。来ていたのは館山の第21航空隊第211飛行隊の機番8272でした。コクピットに乗せてもらえるので、そこそこ列ができてた。他にも広報隊が来ていて制服の試着コーナーとか消防装備の試着コーナーとかありましたよ。ミリオタじゃない人のほうがそういう体験型コーナーは人気みたい。

最後は兵装についてです。”かが”ではVLS(要は大きめのミサイル)を装備しておらず、自分を守る程度の兵装しかありません。なので敵の潜水艦はヘリや味方艦に攻撃してもらいます。航空機に対しても、自身に飛んでくるミサイルなどへの防御能力のみで、離れた位置に居る攻撃機などを攻撃する能力はありません。

“かが”で目立つのは海自では”いずも”型で初めて採用されたSea RAM(シーラム)という装備です。これは米独(途中まで+デンマーク)で開発されたもので、基本構成自体は1987年には完成しており新しいものではありあません。艦載用にCIWS(後述する機関砲のこと)の射撃システム流用で自動化したものは比較的新しく、”かが”が積んでるモデルは2012年に完成したもの(だったはず、自信なし)。
これは単純に言えば小型のミサイルを複数の筒に入れて撃つもので、本体のレーダーから独立して誘導されるため複数弾を連続発射することができます。ミサイルと言っても射程はあまり長くなく、ロケット花火みたいなイメージのほうが近いかも。RAMはRolling Airframe Missileの略ですが、大戦中の多連装噴進砲をRAMの先祖とみなす場合もあります。そっちはミサイルじゃなくって、誘導装置の無いロケット弾だけどね。
RAMの弾は推進器と誘導装置と姿勢制御用の翼を持ち、発射時に弾体に旋転を与える(回転しながら飛んでく)のが特徴ね。機関砲のCIWSに比べて遠距離で対艦ミサイルを迎撃できるため、破片などによる被害を受けずにすむというのが長所で、各国でCIWSと併用されたり最近ではRAMのみ装備の艦もあります。
”かが”では艦橋構造物の前と左舷の艦尾(3枚目)に装備しています。

次はCIWS(シウス)。艦首右の甲板上と右舷後部に装備していて、わかりにくいですが4枚目は右舷後部のやつです。おなじみの装備ですが一応説明するとCIWSはClose In Weapon Systemの略で、近接防御火器システムの総称です。海自や米軍が装備しているのは米国製のファランクスって名前のもので、他にもオランダ製のゴールキーパーなどがあります。一般には知られてませんけど、オランダって何気にけっこうな兵器開発国だぞ、イメージと違うぞ。前述のSeaRAMも定義としてはCIWSの一種なんですが、ミリオタ的には何となく機関砲のCIWSとRAMは分けて扱ってるようなイメージがあります。だからここでも”CIWS”と”SeaRAM”っていう呼び分けにしてみました。
能力的にはSeaRAMよりも射程が短いとはいえ有効射程が数kmあり、20mm砲弾を毎秒50~75発発射するバケモンです。基本的には対艦ミサイルの迎撃用ですが、もし20mm砲弾が人間に命中した場合は「風穴があく」ではなく「こっぱ微塵に吹き飛ぶ」レベルの威力だそうです。
ファランクスでも何種類かあって、”かが”のものはBlock1B BaseLine2という最新モデルです。1B以降はボートなどへのフルオート射撃も可能ですが、こんなんで撃たれたら並みの漁船くらいなら一瞬で吹き飛んじゃうぞ。

もう一つはおなじみ12.7mm機関銃。説明書きがあって、この写真のはQCB(Quick Change Barrel)というタイプだそうで、銃身の交換が容易になって安全性が向上してるそうです。銃架は”水上艦用機関銃架3型据付”ってやつだそう。アダプターを付ければ5.56mm機関銃MINIMIも設置できるんだそうな。これは知らなかったよ。

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以上、カレーフェスタで見た護衛艦”かが”のレポートでした。海自カレーフェスタは横須賀でもあったはずなので、東日本だとそっちも調べてみましょう。他にも海自艦艇はけっこうあちこちのイベントに出張していますから、調べてみると案外近場で見られたりします。ミリオタじゃなくてもけっこう楽しめるので、検討してみてね。


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