ワンフェス&同人ディーラー の始め方3

ワンフェス&同人ディーラー の始め方3

*その3の目次*
*ワンフェス 複製やデカールのやり方*
・シリコン型取り
・レジンで複製
・デカール作成
・その他の特殊部品について
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その1に戻る用のリンク(同じ窓で開きます)

*ワンフェス 複製やデカールのやり方*

このページでは、ガレージキットの販売イベント「ワンダーフェスティバル(ワンフェス)」についてこれからディーラー(販売する側)になりたいという初心者に向けたアドバイスや始め方を適当に解説します。

今いるページは複製やデカールについて扱います。その他の分野や概要についてはリンクから飛んで下さい。個々の項目で概要と被る部分も少しあります。

筆者はワンフェスでスケールもの(戦車とか)のガレージキットを製作販売してる三十路のお兄さんです。アニメは見なくはないですがコミケとかは行かないので、そのへん適当なこと言ってると思ってください。

以下、項目ごとに折りたたんでいるのでクリックして展開して読んでください。PCで見る用に作ってるのでスマホだと見にくいかもしれないです。拡大して頑張ってちょーだい。

・シリコン型取り

ガレージキットを作る場合、普通は原型からシリコンで型取りして2液混合型のレジン樹脂(ポリウレタン樹脂)を流して化学反応により硬化させ、固まった部品を型から取り出して終わりです。普通は全て手作業で、ブロックやら輪ゴムやら単純な道具でやります。
専門の業者では真空脱泡機や遠心分離で気抜きしたりといった方法も使いますが、筆者が使っていなくてわからないのでここでは扱いません。真空脱泡機は個人で持ってる人もけっこう居ますが、少なくともこれから始める人がいきなり買うようなものではないです。十分に経験を積んでからワンフェスで既に使ってるディーラーさんに話を聞いて、よさそうなものを探しましょう。

WAVE社のとクレオス社のやつの特徴
 

シリコンはどの商品を使うか?というのは、ぶっちゃけ筆者は詳しくありません。WAVE社のやつとクレオス社のしか使ってないもの。シリコンといっても商品によって多少の差があり、別売りの添加物によって特性を変化させて使う人も居ます。そこんとこの詳しいことは、ワンフェスで他のディーラーさんいくつかに聞いてみるのが無難でしょう。みんな自分が使ってるものの欠点はあまり言わないので、いくつか回って広く意見を聞くのが大事。また、場合によっては特性に加えて入手性も大事です。地方ではWAVEのやつしか売ってないって店が多いです。イベント直前で足りなくなった場合、通販を待てないってこともありますから、なるべくいつでもすぐ入手できるもののほうが安心です。

ざっとですが、一番入手しやすい2社のシリコン+離型剤について特徴を説明しておきます。価格も安めなので初めて買うならとりあえずどっちかで良いと思います。もっと高いものだとボークス(造形村)のやつがあります。紹介しているのは不透明なシリコンですが、透明シリコンを主用する人も居ます。

・WAVE社「ウェーブ・シリコーンゴム 1kg (硬化剤付き) 」市場価格で3,200円前後

たぶん一番普及してるシリコンです。色はうっすらピンクがかった白。主剤100gにつき1gの硬化剤を混ぜます、硬化剤は色つきで扱いやすいです。硬化剤の量で微妙に変わりますが、基本的に硬めのシリコンです。流動性が良く原型の凹凸や隙間によく馴染むのが長所で、硬めなぶん耐久性にやや劣って千切れやすいのが短所です。臭いはあまりありません。硬化時間が12時間なのもやや短所。総じて扱いやすいので、初心者には一番いいかな?って気がします。

・GSIクレオス社(旧グンゼ産業) 「 Mr.シリコーン 1kg 硬化剤付」 市場価格で3,000円前後

これもそこそそこあるやつ。主剤100gにつき4gの硬化剤を混ぜます、硬化剤は透明なものをスポイドで測って入れるのですが、やや扱いづらいです。主剤のねばりけが強く、混ぜるのに力が必要なのが難点。硬化剤の量で微妙に変わりますが、基本的に柔らかめのシリコンです。WAVEに比べて流動性がやや悪く原型の隙間に流れ込みにくいのが短所、柔らかいぶん耐久性に優れるのが長所です。臭いはあまりありません。硬化時間が8時間なのは長所。生産してない期間が多いのか、大手通販サイトだと売ってないタイミングが多いのも短所、また開封前の経年劣化がWAVE製より激しいのでは?という声も聞きます。ややクセがありますが、普通に売ってるんならコレでもいいかと。

・GSIクレオス社(旧グンゼ産業) 「Mr.シリコーンバリアー」 市場価格で1,000円前後

離型剤でよく使われているもの。これがないと固まったシリコンに新たにシリコンを流した時にくっつきます、またシリコン型にレジンを流した時にもくっついてしまい型が破損します。離型剤ってのは要するに油で、別に適当な油でも使えなくはないはずですが、シリコンやレジンとの相性から専用品を使うのが無難です。コレだと油といってもサラサラしていてすぐに乾くので使いやすいです。筆や刷毛で塗るかエアブラシで吹きますが、基本的に筆&刷毛でいいと思います。複製何回かに一回塗ればOKと書いてありますが、複雑な彫刻だと毎回塗らないと危ないです。大手通販サイトでも売っていますが時たま在庫が切れてるので、イベント前は1本予備を持った状態で作業すると安心です。

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・シリコン型取りの手順

シリコン型取りの手順をざっと説明します。ぶっちゃけ理屈どうこうよりもやって慣れたほうが早いと思うので、細かいコツとかは自分でやってみてね。

ひらく
 
とりあえず道具の説明。シリコン型をとるには、型枠と粘土とシリコンと離型剤とコップ等があればOKです。一般的によく使われているのが次の道具です。(写真はまとめて下のほうにあります)
最近では他にも出てきてますが、使い物にならんくない?と疑わしいものが多いので個人的にはオススメしません。昨今のガレキやプラモの業界は厳しく、比較的金払いのよいディーラーとかをカモにして、雑誌などで適当に触れ回っていい加減なものを法外な値段で売ろうという企業&自称プロがずいぶん居るように思います。新しく出たもんについては、十分使われて実績を積んだ頃に信用できる人に具合を聞いてから導入するか決めようね。個人的には一部の専門雑誌は女性週刊誌みたいなもんだと思ってます。

・GSIクレオス社「 Mr.型取りブロック (VM004)」青色の2連のやつ 市場価格で500円前後
・GSIクレオス社「 Mr.型取りブロック2 (VM005)」青色の4連のやつ 市場価格で1,000円前後
・GSIクレオス社「 Mr.型取りブロックプレート (VM007)」赤色のやつ 市場価格で700円前後
・GSIクレオス社「 Mr.クレイ2 型取り用油粘土 (VM009)」 市場価格で250円前後
・百均の 「紙コップ200ml、90ml」「割りばし」「ポリ容器(砂糖とか入れるやつ)」「金属バット(トレー)」「キッチンペーパー」
・上項目のシリコンと離型剤

これだけあればとりあえず普通のシリコン型はできます。クレオスの型取りブロックはでっかいレゴみたいなものです。流れは、型枠を組んで、粘土をしいて、原型を埋めて、シリコンを流して、固まったら裏返して、粘土を取って、離型剤を塗って、シリコン流して、固まったら原型を取り出して、ランナーやゲートを整えて、でシリコン型は完成します。
このクレオスのブロックは精度が悪く、はまりにくくてストレスがたまるのですが、大きさと価格的に他に適当なものが無くって木板やプラ板で枠を作るよりは楽なので、文句を言いつつも使う人が多い製品です。
粘土は何でもよさそうですが、最近では油粘土自体があまり売っていません、幼稚園とかでは今は麦粘土とかの天然素材ものが主流です。百均(ダイソー)の白い油粘土はシリコンにくっつきやすくて使いづらいです。クレオスの粘土は確かにくっつき具合のバランスが良いので、素直にこれ使っておけば良いと思います。
紙コップとかは混ぜる時に使います、大きさは必要に応じてで。型が大きい場合はポリ容器を使います、この場合は容器はくり返し使えます。混ぜる道具も200mlなら割りばしで十分ですが、容器が大きいならペインティングナイフとか使ったほうが楽です。金属バットは粉砕じゃないほうね、料理道具で売ってます。これの上で作業しないとこぼした時にヒドイです。こぼした時にはキッチンペーパーが便利、何種類かあるので好みで選ぼう。

**手順**
手順について説明します。ぶっちゃけ型取りブロックに書いてある説明でわかると思いますが一応書きます。ここでは一番普通な2面型で説明します。
勘違いされることが多いのですが、シリコン型+手作業でやるレジン複製の場合、3面以上の多面型は別に難しくありません。インジェクションキット(一般的プラモ)の多面型(スライド金型)と同じに考えられてる場合がありますが、自動化してるそっちとは事情が全く異なります。ロングスカートのような部品は前・後・下+内側の3面ってしたほうが綺麗で簡単なはず、2ピースにするほうが面倒です。やり方は単にシリコン型取りが1周増えるだけで2面と特に変わりません。多面型でやってるのは別にスゲぇことしてるんではなく、そのほうが簡単で綺麗だから多面にしてるだけです。誤解なきようにどうぞ。

1.型枠をざっと組む。
まず、使う原型とランナーの大きさを考慮して、どれぐらいの大きさの型にするか決めます。原型はなるべくまとめてシリコン型の数が少なくなるようにしたほうが生産が楽です。ただし、抜きづらい原型は分けたほうが無難で、例えば胴体や顔や脚はまとめて、髪や手先は個別とかにすると良いでしょう。型枠の範囲を決めたら赤いタイルを底に敷いておきます。外枠から原型まではなるべく1cmは離したほうが無難ですが、小さい型(一辺5cmくらい)ならもっと詰めても大丈夫です。まだ高さは2~3段でよいです。

2.粘土を敷く
型枠の底いっぱいに粘土を敷きます。基本的にはなるべく平らに敷きますが、分割面がまっすぐでなく複雑な線や斜めになる場合は、それにあわせてある程度形を作っておきます。粘土は何度か使っていると硬くなってきて使いにくくなります。その場合、新しく買うか、頑張って温めて緩くするか、硬いのは底に敷いて原型と接する部分は新しいのを使ったり、もろもろ工夫してください。

3.原型を埋める
粘土に原型を埋めます。どこまで埋めるのかはその都度判断します、必ずしも埋めずに乗せた状態にする場合もあります。どこに分割線を設けたいか?引き抜くことができるか?を考えて下さい。原型を埋めたら粘土がしっかりと隙間なくくっつくように、原型の周りを注意して微調整します。ランナーはこの時点でプラ棒などを埋めて作る方法と、型が出来た後からナイフで溝を切って作る方法があります。初心者ならメインのランナーだけはプラ棒を埋めておいて、細かいとこは後からナイフで切るのが良いかと。

2面の場合、型の構造はざっくり分けて「分割面にランナーを持ってくる方法」と「片方の型に湯口を設ける方法」があります。部品によって決めますが、基本的には分割面に設ける方法のほうがもろもろ対処がしやすく成功させやすいです。

原型を埋めるときには向きや角度に十分注意してください。気泡がどう逃げるかをイメージして作るのが重要で、下から液面が上がってきた時に、空気の逃げ場ができるようにしてください。例えば、四角□の下辺と上辺の真ん中にゲートを設けた場合、上の角が気泡で欠ける可能性が大です。回転させて◇の向きにして、下と上の角にゲートを作れば気泡の欠けは防げます。その代わり角にゲートができちゃうので、ゲートが大きいと整形が難しくなります。

埋め作業の間は型枠が高いと作業しづらいので、型枠は低くしておきます。埋め終わったら必要な高さまで型枠を積み重ねます。原型の上より2cmくらいは高くしておきます。組むときは、下の段とは違うところにブロックの継ぎ目がくるようにします。2連と4連を組み合わせて上手くやりましょう。

4.ズレ防止をつくる
原型を埋めたら、周りの粘土に適当にくぼみを作ります。これは複製の時にシリコン型がずれないようにするためで、かなり適当でかまいません。適当にやすりの柄のお尻とかで軽く窪みを作っていきます。あまり深くせず、丸っこい窪みにしておきます。

5.離型剤を塗る
これはやらなくてもいい場合もあるんですが、基本的にやっといたほうが無難です。粘土やブロックには塗りません。なるべく筆目が残らないように原型にうっすら塗ります。原型がシリコンにくっつきにくいなら要らないのですが、いろんな素材使ってサフ吹いて作った原型だとやっておいたほうが無難。離型剤はすぐ乾くので特に待たなくてOK。

6.シリコン流す
型の準備ができたらシリコン流します。流す量は目分量ですが、一番薄くなる部分で1cm程度は厚みを確保できる量を流せば無難です。局所的なら5mmぐらいでも大丈夫だけど気をつけて。型全体が薄くなるとシリコンが反りやすく、複製したときに部品の厚みが微妙に変わったりして失敗しやすいです、平べったい&薄い&細長い部品ほど注意して型を厚くするようにします。

シリコンは出す前にしっかり混ぜて使います。上に浮いてる透明なのと底の白いのをしっかり混ぜること。この主剤を必要量量ってカップに出して、硬化剤を重さを見ながらor滴下量を数えながら加えます。少々多くても大丈夫です。とにかくしっかり混ぜること。色が均一になったらOK。WAVEのシリコンだと慣れれば色で判断できます。

流す際は原型に直に注がず、周りの粘土に落として回っていくようにします。細かい彫刻の窪みとかは空気が残りやすいので、ツマヨウジでつついて上手くシリコンが入るようにします。流し終わったらなるべく水平な場所で放置します。臭いは微妙にあるので、なるべく窓を開けて換気しておきます。

7.裏返して粘土とる
片面のシリコンが固まったら、型枠を崩して裏返して粘土を取ります。赤いタイルも使わないので取ります。粘土はガバっと取れますが、細部にくっついてたりするのでピンセットでチマチマ取ります。粘土を取る間、原型がシリコンから外れないようにします。粘土をとったら原型の周りをよく確認して、原型の上にシリコンが薄くのってたりする場合は取り除きます。一通りとったら柔らかい刷毛でゴミを落とします。また、シリコンの外周にヒレみたいなのができて邪魔になってると思うのでこれをニッパーでざっと切って取り除きます。

8.型枠を組む
型枠を組みなおします。赤い板は無くてOKです。普通に組んでいきますが、変に力が加わると原型とシリコンの間に隙間でできる場合があるので、注意しながら作業します。高さや組み方は最初と一緒です。

9.離型剤を塗る
型の中のシリコンに離型剤を塗ります、原型は軽く粘土の油がついてるなら無視でもOK。単純な作業ですが、忘れるとエライことになるので特に注意してください。忘れると1度目と2度目のシリコンがくっついて原型が取り出せなくなります。こうなるとナイフや包丁で切開するしかないのですが、原型を破損する可能性が高いですし当然シリコン型はダメになります。やったっけ?って迷ったら、とりあえず塗っておくようにしましょう。

10.シリコン流す(2回目)
2度目のシリコンを流します。注意事項は1回目と一緒。そのまま硬化を待ちます。

11.型から外す
硬化したら型枠をくずしてシリコンを出します。とりあえず外周の余計なヒレをニッパーで取ります、またフチの部分もニッパーとかで切っておきます、こうしてC面をとっておくとゴムでの固定がいくらか綺麗にできます。外を切ったらシリコンをガパっと二つに割って原型を取り出します。取ったら目視でよく確認して、変なとこに少し流れてヒレみたいなのができてたりしたらピンセットで取っておきます。

12.ゲートを作る
ランナーと原型とをつなぐ流路・ゲートをナイフで作ります。これは原型を埋める時点で適当なプラ材を埋めて作っておいても構いません、臨機応変に。ゲートを作る際は、入り口は狭いと流れる速度が遅くなるのである程度の大きさを確保すること。出口のほうはともかく確実に空気が逃げるように、狭くても良いので必要な個所を見極めてサボらず作ること。髪の部品なんかは、頭頂部を下にして入り口のゲートを作り、全ての毛先に出口のゲートを作るようにすると無難です。
ついでに、部品の体積が大きい場合は出口のゲートの先端(出口側)を大きくしてレジンが溜まる場所を作っておきます。レジンは硬化時に収縮するのですが、ゲートの体積を大きくしておけばこの部分で収縮を吸収しているらしく、部品本体のヒケが最小限で済みます。

13.試し抜きする
ここまででシリコン型は完成です。そしたら試し抜きします。複製については次で詳しく触れます。抜いてみて上手くいかない場合にはシリコン型に手を加えることで対処できる場合があります。例えば、どこかが気泡で欠けるなら、その付近のシリコンにV字の溝をナイフで切って上まで空気の逃げ道を作ります。注ぎ口が小さくて流す途中で大きな気泡が入るなら、注ぎ口だけを切って広げて注ぎやすくすれば解決します。こういう対処は「片方の型に湯口を設ける方法」だとできません、なので「分割面にランナーを持ってくる方法」のほうが無難で潰しが効く方法なのです。もっともあくまで対処療法なので、そもそも難しい型では完璧な複製品は無理があります、どこで妥協するかの判断は適時行いましょう。

なお、シリコン・油粘土・レジンは多分ほとんどの自治体で燃えるゴミです。現在の焼却炉は石油化合物なら基本的に燃やせるよ。空き缶については家庭ゴミで大量に出すにはマズいです、事業ゴミにしかみえません。たいていの街には金属回収業者がいて、タダで回収してくれるかむしろ小銭をくれるのでそこに持ち込みましょう。知人の工場とかに依頼してもいいです、たぶん業者が喜んで持って帰ってくれます。
レジン缶なら中身を出せるだけ出して、キャップだけしておきます。金属キャップはつけずに別の袋に入れて渡します。シリコンは取れるだけ取ってフタした状態で渡します。離型剤のビンは、フタは燃えるゴミでびんは家庭で捨てても大丈夫です。

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・レジン複製の詳細

レジンを流して複製する手順とかの説明をします。ここで扱うのは一番普通な”ただ流すだけ”の方法です、鋳造で言うと重力式鋳造ね。業者では真空脱泡機を使った真空鋳造に似た方法や遠心分離機みたいなのを使う方法もあります。それらは気泡の少ない精密なモデルを作りやすいですが、道具は高いし手間もあるしで個人で持つのは勇気が要ります。

ひらく
 

まず材料のレジンですが、普通は2つの液体を混ぜて化学反応で硬化するタイプを使います。一応、ペースト状とかのタイプもありますが一般的ではありません。ワンフェスでも宣伝してる竹林化学の製品は軟質部品を作りたい場合のみ考慮に値するって感じです。

*材料*
・WAVE社「ウェーブ レジンキャストEX 2kg (ノンキシレンアイボリー) 180秒硬化タイプ」市場価格で3,000円前後

色々ありますが、とりあえずコレでいいんじゃないかと。たぶん一番普通に売ってるのがWAVE社のレジンで、うちの地方だとコレ以外は見たことありません。もっと高級なものだとボークス(造形村)のものがあり、能力的には上らしくこだわる人や業者はそのへん使ってるみたいです。これは通販だと手に入りますが、緊急時の入手性が悪い点は考慮すること。

WAVEの製品も何種類かあって迷うと思います。キシレンどうこうはその成分が入ってるかどうかで、新たに始めるならノンで良いと思います。キシレン入りのほうが流しやすいって意見もあるのですが大差なく、キシレンは毒性が強め臭いキツめなので無いほうが快適です。
OO秒ってのは硬化し始めるまでのおよその時間です、これは作るもので決めます。大きいものや真空脱泡機だと180秒を使います、1/7程度のフィギュアでいくつかに型を分けてるなら120秒タイプで大丈夫です。硬化後の差は特に無いような気がします、完全硬化までの時間は120秒のほうが若干早いです。
硬化開始時間&完全硬化時間は室温によって変わるってのは覚えておきましょう。夏と冬でははっきり差があり、冬は硬化する前にギリ流せてた部品だと夏は硬化が早いので間に合わない可能性があります。
色は単純に欲しい色を選びます、ただし180秒タイプはアイボリーのみです。グレーがあまり使われないのは多分見た目が悪いから、硬化後の表面に模様みたいなのができやすく、実際は問題ないのですが部品状態の見た目が悪いので好まれません。なので選ぶならアイボリー(白っぽいベージュ色)かホワイトかと。

カラーレジンやクリアーレジンは扱いにそこそこコツがあるらしいので、使ってる人に聞いてみましょう(丸投げ)。以前よりはかなり簡単にできるような製品が揃ってるので、ちゃんと調べれば初心者でもできるかも?

また、百均などでネイル用の「UVレジン」「光硬化レジン」ってものもあります。基本的には3Dプリンタで使うものと同じ材料です。あれは少量での使用が前提ですから、普通のフィギュアとかのレジン複製には向きません。その代わり、パテ代わりに使ったりはできるかもなのでちょっと試すぐらいはいいかもです。

・手順(WAVEのレジンで説明します)

とりあえず、シリコン型の内側に離型剤を塗って閉じて、輪ゴムやゴムバンドで固定します。大きな型だと木板とクランプで固定することもありますが、普通の個人生産ならまず輪ゴムで事足りるはずです。輪ゴムは適度に締めるようによく見ながら均等にかけます。締め付けすぎて変形したり、端っこがゆるゆるになったりしないように注意。輪ゴムは百均で複数サイズのセットを買ってきて具合を見るといいかと。離型剤を筆で塗ったら、抜け毛は確認しましょう、あったらピンセットで取ります。

レジンは同じ量を量って混ぜます。量る道具は基本は料理とかに使う電子秤(1kg程度までのやつ、1,000円程)を使います。駒込ピペットを使う手もありますが、体積を量る道具だと注意が必要です。A液とB液は比重が異なり、同じ体積だと重さは違ってしまいます、一緒にすべきは重さのほうです。なので体積を量る道具だと、あらかじめ体積と重さの関係を量っておいて体積を調整する(わざとズラす)必要があります。
他にもソース入れみたいな注ぎ口付きの容器に入れたり、先に100g程度をコップに出してから小出しにしたり、工夫は様々です。注ぎ口が細い道具だと使ってるうちに固形物が付いてきて流しにくくなるので、カスが取れなくなるくらいまで使ったら交換しましょう。

液の注ぎ方は小学校で習った通り。満タンの場合は缶から出す時にこぼれやすいので特に注意、付属のベロは逆にこぼれやすいので使わないほうがよいです。満タンの時は缶の角に割りばしをあててゆっくり流していきます、紙コップには割りばしを当てないこと、計量できないからね。ある程度まで減ったら、丸い口のところに割りばしをあてます。

湿気を吸うと劣化するっぽので、キャップはなるべくこまめにします、金属のフタは作業終了時にだけすればOKです。1時間くらいなら出した状態で放置しても特に何ともないので、ある程度まとめてコップに出しておいてから分ける方法もあります。使い具合で上手いことやること。

紙コップは1回で捨てなくても硬化してからそのまま再使用しても構いません、秤ならTAREボタンを使えば簡単です。混ぜるための割りばしとツマヨウジも同様です。とゆーか1回で捨ててたらエライ量になります、ゴミは減らそう。

混ぜる際にはなるべく静かに混ぜますが、シリコン型の作り方が適切なら混ざっちゃう細かな気泡はあんまし関係ないです。ここで見えてる細かな気泡は適切な型でうまく流せばほとんどが出口のゲートまで行くか部品の内部に行ってるはず。部品にできる厄介な大きな気泡の多くは液中の気泡ではなく流した時に逃げきれなかった空気です。部品の表面にできる極小さな気泡(液中の気泡が原因)は出口のゲートをしっかりとっておけばあらかた回避できます、形状や大きさによっては逃がしきれないのでそういう場合には液中の気泡にも配慮します。これらの細かい気泡は上に集まるので、部品の底面や内面が上にくるように型を作ることで無視できるようになります。
気泡を防ぐ消泡剤なんてのもありますが、あれは撹拌時などに液表面に出来る泡(液面の上にボコボコできる泡)を消すのがメイン。空気が逃げ場を失ってできる気泡(欠け)にはほとんど効果がないはずなので、特に使う意味はないんじゃないかと。たまに使ってる人がいるけど、そんなに効果あるんかしら…?成分は乳化剤らしいから全く意味が無いとは言わないけど、わざわざ使うもんではない気がする。

混ぜたら、普通に流すだけです。注ぎ口はある程度大きくしておくこと、注ぎ口全体を液が覆ったり覆わなかったりを繰り返してしまうと途中で大きな気泡を作ってしまい、上手く流れません。型によって流し加減は調整します。また、あえて型を垂直にせずにすこし傾けることで気泡をうまく逃がせる場合もあるので色々工夫してみて。割りばしだと太いので、基本はツマヨウジを使います。

流したら、ほっといて硬化したら取り出します。20分~30分くらいは待たないと十分に硬化しないので注意、冬は特に遅くて40分くらい待ったほうがいい時もあります。ゴムを外して、シリコン型をガパっとあけて中の部品を手でベリっと取るだけでOK。カスが残ってる場合があるのでよく確認してから離型剤を塗ってまた流して…ってくり返します。
複製を連続していると型がだんだん反ってくるはずです、どうも熱による膨張&収縮をくり返すからっぽい(多分)。シリコン型が薄いとなりやすく、こうなると失敗する可能性が高くなります。急がないなら作業を止めて、適当な平らな重しをして1日置いておくと元の平らな状態に戻るので再度使えます。

トラブルについて。何度も流していくと離型剤を塗ってもレジンとシリコンがくっついてしまい型が破損する場合があります、これが寿命です。モノ次第ですが20回~30回も使えば破損します、複雑なモノだと10回以内ってこともあります。諦めるしかないです。
次、何度も流していくと表面にニキビ跡のような小さな窪みがたくさんできる場合があります。これの原因はイマイチ判然としません。レジンを変えたり離型剤をやめたりしても関係ないので、こうなったら寿命とみなしましょう。(原因と対処法がわかる人いたら情報求む)
次、流してみたら硬化する途中で大量の泡が発生しちゃうって場合。これはレジンが水分を吸いすぎて変質した時に起きます。うっかりレジン缶のフタを開けて1日放置した時や、何時間も前にコップに出したレジンを使ったらこうなる。大人しく新しいレジンを出して使いましょう。フタをしていれば何か月も前のレジンでも意外と何ともないですが、こういう症状が多少でも出たら使用を止めたほうが無難です。

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・デカール作成について

女の子フィギュアの場合、瞳のデカールはなるべく付属させたほうが親切です。よほど上手い人でない限り塗装するよりデカールを貼ったほうが綺麗、完成見本を作る自分も楽できて綺麗に仕上がるので自分の為でもあります。

デカールを自作する方法は大きく分けると3通りで、「普通の家庭用プリンタで自作」「特殊なプリンタを買って自作」「データ作って外注」の3つです。このうち、特殊なプリンタ買って自作はオススメできません、機械が高価なことと、有名だった機種の生産が終わって入手困難なため。外注でいいサービスもあるので、今からわざわざ自分で買うのはオススメしません。よって、ここでは他2つの説明をします。

デカール作成について

*普通の家庭用プリンタで自作*
一部のデカールシートは普通の家庭用インクジェットプリンタでも印刷できます。価格がかなり安く済む事と締め切りが関係ない(駆け込みで作れる)のが大きな長所で、印刷品質の悪さとデカール自体の扱いにくさ(普通のプラモのと違う)が欠点です。
このタイプは置いた後でズラすことができないので位置決めが非常に難しいです。できれば予備を5セットほど入れておいて欲しいなと。その辺を事前に伝えるか、「デカールはおまけと思ってね」という旨を書いておくほうが無難です。

よく見るものは

・ガイアノーツ社「おうちdeデカール  クリアータイプ(とホワイトタイプ)」市場価格で600円前後

これは「反転型」とか呼ばれるタイプで、普通のプラモのデカールとは扱い方が違います。ガンプラのドライデカールみたいな感じで印刷が反転していて、あれがフィルムになったと思って下さい。白は印刷できない(インクが無い)ので、白目は白地に黒で枠だけ印刷して切り抜いてもらったりします。デカールは面全体がフィルムでくっついているので、印刷した周りだけ取れるってものではないです、これは他のやつも一緒。もうちょっといいのもあるっぽいですが、入手性に難があったりするようです。
このデカールを使う場合はキットの説明書にコレを使ってる旨をなるべく書いて下さい。知ってればすぐ見分けがつくのですが、見たことない人だと使い方がわかりません。また、この手の自作用デカールは軟化剤(マークソフター)に対して弱くてマークセッターですらシワが発生したりするので、それも自分で確認して書いておくと親切です。あとラッカークリアー吹きOKかもついでに書いてほしいなと。

印刷は適当にペイントとかでjpgかpngで画像ファイル作って、大きさを調整しつつ印刷するだけでOK、特殊なソフト無しでもできます。左右反転させておくのだけ忘れずに。極端な話、原作画像を切り取って加工すればできますが、当然ながら版権を侵さない範囲で作業すること。自分で画像を作るなら無料の描画ソフトもあり[メディバンペイント]あたりが便利かと思います。

リンク:おうちdeデカール(別窓で開きます):::メディバンペイント(別窓で開きます)

*データ作って外注*

最近増えてるっぽい方法です。意外と安くでき、1シート5,000円~ってのもあります。利点は印刷品質とフィルム自体の品質の良さ、白も印刷できること。欠点は自作より価格が高いのと、描画ソフトで作ったデータで入稿しないといけないこと。家庭用で自作だと失敗覚悟のオマケ程度にしかなりませんが、こっちだと実用レベルのものができます。

現時点(2018年)で良いと聞いたのはハイキューパーツ社が提供する「ハイキュープリント」ってサービスで、ディーラーなどの個人向けサービスです。Adobe社の「Illustrator (イラストレーター、イラレ)」のファイル形式での入稿が必要なため、その点でハードルがやや高くなります。もっとも、まともな印刷を外注するならどこも同じなんでこの機会に覚えればよいかと。イラレは今は月払いのやつがメインで、1ヶ月なら1,300円くらいです。シートがそこそこ大きいので、複数キットぶんのデカールを突っ込めれば安くできます。基本的に普通のデカールに近いものが作れて、個人生産のガレキとしては最高品質のデカールができますから、割安な方法だと思います。瞳以外の大きいデカールが必要なら是非とも検討すべきでしょう。

リンク:ハイキュープリント (別窓で開きます)

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・その他の特殊部品について

その他の特殊な部品とその生産・入手について軽く触れます。いずれにせよ、外注する場合は個人相手でもやってくれるのかをまず確認しましょう。通常は個人相手にこの手の加工や製造をやっても儲けが出ません、ほとんどボランティアです。やってくれる所はかなり少ないので、いきなり問い合わせたりせずよくHP確認したり他のディーラーに紹介してもらったりして、迷惑の無いようにしましょう。

・ポリ関節など
可動フィギュアであるやつ。どこでも売ってる市販品なら別売りで良いですが、流通が限られてる特殊な物を使うならなるべく同梱してくれよと個人的には思います。少なくとも同梱か別売りかは明記すること。同梱すると在庫リスクが大きくなるのでそこは要検討。

・金属線やプラ材
これも普通に入手できるものなら別売りで良いかと。特殊なサイズ・形状の場合はなるべく同梱してください。また、少ししか使わないプラ材とかは切って入れておいてあげれば親切です。ただし、軸打ち用の材料はそもそも必須じゃないので入れないのが普通です。

・エッチングなど、特殊形状の金属部品
メガネのフレームや髪飾りなど、薄い小物はエッチングが欲しいところです。個人で自力でエッチングを作るのはほぼ不可能なので外注するしかないですが、個人相手にやってくれる所かをよく確認してから問い合わせすること。個人相手にやっていないところへいきなり問い合わせするのは極めて迷惑で失礼です、ワンフェスで自作エッチングを使ってる人に聞いて業者を紹介してもらいましょう。なんにせよ、けっこうコストがかかりますし、メガネのような小物1点のためにやるのは極めて非効率です。メガネ1個なら市販の汎用部品を買って必要分を付属させたほうが安いです。
他にも星☆やハート♡などの一般的な形状の小型金属部品であれば、ネイルアート用の金属部品も調べてみましょう。けっこう色々あります。地方だとなかなか売ってないですが、東急ハンズなんかに行けばあるので機会を見て探しておきましょう。他にもドールハウスとかのミニチュア用の部品で市販品がある場合もあります。

金属挽き物部品はフィギュアだとあまり使わないと思いますが、戦車の砲身とかで欲しい場合もあります。これも外注を探すにはまず個人相手にやってくれる所を探す必要があります。また個人相手では商売にならないので、価格もかなり高くなります、挽き物なら1本2,000円、お友達価格でも1,000円ってとこだと思ってください。

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