とりあえず道具の説明。シリコン型をとるには、型枠と粘土とシリコンと離型剤とコップ等があればOKです。一般的によく使われているのが次の道具です。(写真はまとめて下のほうにあります)
最近では他にも出てきてますが、使い物にならんくない?と疑わしいものが多いので個人的にはオススメしません。昨今のガレキやプラモの業界は厳しく、比較的金払いのよいディーラーとかをカモにして、雑誌などで適当に触れ回っていい加減なものを法外な値段で売ろうという企業&自称プロがずいぶん居るように思います。新しく出たもんについては、十分使われて実績を積んだ頃に信用できる人に具合を聞いてから導入するか決めようね。個人的には一部の専門雑誌は女性週刊誌みたいなもんだと思ってます。
・GSIクレオス社「 Mr.型取りブロック (VM004)」青色の2連のやつ 市場価格で500円前後
・GSIクレオス社「 Mr.型取りブロック2 (VM005)」青色の4連のやつ 市場価格で1,000円前後
・GSIクレオス社「 Mr.型取りブロックプレート (VM007)」赤色のやつ 市場価格で700円前後
・GSIクレオス社「 Mr.クレイ2 型取り用油粘土 (VM009)」 市場価格で250円前後
・百均の 「紙コップ200ml、90ml」「割りばし」「ポリ容器(砂糖とか入れるやつ)」「金属バット(トレー)」「キッチンペーパー」
・上項目のシリコンと離型剤
これだけあればとりあえず普通のシリコン型はできます。クレオスの型取りブロックはでっかいレゴみたいなものです。流れは、型枠を組んで、粘土をしいて、原型を埋めて、シリコンを流して、固まったら裏返して、粘土を取って、離型剤を塗って、シリコン流して、固まったら原型を取り出して、ランナーやゲートを整えて、でシリコン型は完成します。
このクレオスのブロックは精度が悪く、はまりにくくてストレスがたまるのですが、大きさと価格的に他に適当なものが無くって木板やプラ板で枠を作るよりは楽なので、文句を言いつつも使う人が多い製品です。
粘土は何でもよさそうですが、最近では油粘土自体があまり売っていません、幼稚園とかでは今は麦粘土とかの天然素材ものが主流です。百均(ダイソー)の白い油粘土はシリコンにくっつきやすくて使いづらいです。クレオスの粘土は確かにくっつき具合のバランスが良いので、素直にこれ使っておけば良いと思います。
紙コップとかは混ぜる時に使います、大きさは必要に応じてで。型が大きい場合はポリ容器を使います、この場合は容器はくり返し使えます。混ぜる道具も200mlなら割りばしで十分ですが、容器が大きいならペインティングナイフとか使ったほうが楽です。金属バットは粉砕じゃないほうね、料理道具で売ってます。これの上で作業しないとこぼした時にヒドイです。こぼした時にはキッチンペーパーが便利、何種類かあるので好みで選ぼう。
**手順**
手順について説明します。ぶっちゃけ型取りブロックに書いてある説明でわかると思いますが一応書きます。ここでは一番普通な2面型で説明します。
勘違いされることが多いのですが、シリコン型+手作業でやるレジン複製の場合、3面以上の多面型は別に難しくありません。インジェクションキット(一般的プラモ)の多面型(スライド金型)と同じに考えられてる場合がありますが、自動化してるそっちとは事情が全く異なります。ロングスカートのような部品は前・後・下+内側の3面ってしたほうが綺麗で簡単なはず、2ピースにするほうが面倒です。やり方は単にシリコン型取りが1周増えるだけで2面と特に変わりません。多面型でやってるのは別にスゲぇことしてるんではなく、そのほうが簡単で綺麗だから多面にしてるだけです。誤解なきようにどうぞ。
1.型枠をざっと組む。
まず、使う原型とランナーの大きさを考慮して、どれぐらいの大きさの型にするか決めます。原型はなるべくまとめてシリコン型の数が少なくなるようにしたほうが生産が楽です。ただし、抜きづらい原型は分けたほうが無難で、例えば胴体や顔や脚はまとめて、髪や手先は個別とかにすると良いでしょう。型枠の範囲を決めたら赤いタイルを底に敷いておきます。外枠から原型まではなるべく1cmは離したほうが無難ですが、小さい型(一辺5cmくらい)ならもっと詰めても大丈夫です。まだ高さは2~3段でよいです。
2.粘土を敷く
型枠の底いっぱいに粘土を敷きます。基本的にはなるべく平らに敷きますが、分割面がまっすぐでなく複雑な線や斜めになる場合は、それにあわせてある程度形を作っておきます。粘土は何度か使っていると硬くなってきて使いにくくなります。その場合、新しく買うか、頑張って温めて緩くするか、硬いのは底に敷いて原型と接する部分は新しいのを使ったり、もろもろ工夫してください。
3.原型を埋める
粘土に原型を埋めます。どこまで埋めるのかはその都度判断します、必ずしも埋めずに乗せた状態にする場合もあります。どこに分割線を設けたいか?引き抜くことができるか?を考えて下さい。原型を埋めたら粘土がしっかりと隙間なくくっつくように、原型の周りを注意して微調整します。ランナーはこの時点でプラ棒などを埋めて作る方法と、型が出来た後からナイフで溝を切って作る方法があります。初心者ならメインのランナーだけはプラ棒を埋めておいて、細かいとこは後からナイフで切るのが良いかと。
2面の場合、型の構造はざっくり分けて「分割面にランナーを持ってくる方法」と「片方の型に湯口を設ける方法」があります。部品によって決めますが、基本的には分割面に設ける方法のほうがもろもろ対処がしやすく成功させやすいです。
原型を埋めるときには向きや角度に十分注意してください。気泡がどう逃げるかをイメージして作るのが重要で、下から液面が上がってきた時に、空気の逃げ場ができるようにしてください。例えば、四角□の下辺と上辺の真ん中にゲートを設けた場合、上の角が気泡で欠ける可能性が大です。回転させて◇の向きにして、下と上の角にゲートを作れば気泡の欠けは防げます。その代わり角にゲートができちゃうので、ゲートが大きいと整形が難しくなります。
埋め作業の間は型枠が高いと作業しづらいので、型枠は低くしておきます。埋め終わったら必要な高さまで型枠を積み重ねます。原型の上より2cmくらいは高くしておきます。組むときは、下の段とは違うところにブロックの継ぎ目がくるようにします。2連と4連を組み合わせて上手くやりましょう。
4.ズレ防止をつくる
原型を埋めたら、周りの粘土に適当にくぼみを作ります。これは複製の時にシリコン型がずれないようにするためで、かなり適当でかまいません。適当にやすりの柄のお尻とかで軽く窪みを作っていきます。あまり深くせず、丸っこい窪みにしておきます。
5.離型剤を塗る
これはやらなくてもいい場合もあるんですが、基本的にやっといたほうが無難です。粘土やブロックには塗りません。なるべく筆目が残らないように原型にうっすら塗ります。原型がシリコンにくっつきにくいなら要らないのですが、いろんな素材使ってサフ吹いて作った原型だとやっておいたほうが無難。離型剤はすぐ乾くので特に待たなくてOK。
6.シリコン流す
型の準備ができたらシリコン流します。流す量は目分量ですが、一番薄くなる部分で1cm程度は厚みを確保できる量を流せば無難です。局所的なら5mmぐらいでも大丈夫だけど気をつけて。型全体が薄くなるとシリコンが反りやすく、複製したときに部品の厚みが微妙に変わったりして失敗しやすいです、平べったい&薄い&細長い部品ほど注意して型を厚くするようにします。
シリコンは出す前にしっかり混ぜて使います。上に浮いてる透明なのと底の白いのをしっかり混ぜること。この主剤を必要量量ってカップに出して、硬化剤を重さを見ながらor滴下量を数えながら加えます。少々多くても大丈夫です。とにかくしっかり混ぜること。色が均一になったらOK。WAVEのシリコンだと慣れれば色で判断できます。
流す際は原型に直に注がず、周りの粘土に落として回っていくようにします。細かい彫刻の窪みとかは空気が残りやすいので、ツマヨウジでつついて上手くシリコンが入るようにします。流し終わったらなるべく水平な場所で放置します。臭いは微妙にあるので、なるべく窓を開けて換気しておきます。
7.裏返して粘土とる
片面のシリコンが固まったら、型枠を崩して裏返して粘土を取ります。赤いタイルも使わないので取ります。粘土はガバっと取れますが、細部にくっついてたりするのでピンセットでチマチマ取ります。粘土を取る間、原型がシリコンから外れないようにします。粘土をとったら原型の周りをよく確認して、原型の上にシリコンが薄くのってたりする場合は取り除きます。一通りとったら柔らかい刷毛でゴミを落とします。また、シリコンの外周にヒレみたいなのができて邪魔になってると思うのでこれをニッパーでざっと切って取り除きます。
8.型枠を組む
型枠を組みなおします。赤い板は無くてOKです。普通に組んでいきますが、変に力が加わると原型とシリコンの間に隙間でできる場合があるので、注意しながら作業します。高さや組み方は最初と一緒です。
9.離型剤を塗る
型の中のシリコンに離型剤を塗ります、原型は軽く粘土の油がついてるなら無視でもOK。単純な作業ですが、忘れるとエライことになるので特に注意してください。忘れると1度目と2度目のシリコンがくっついて原型が取り出せなくなります。こうなるとナイフや包丁で切開するしかないのですが、原型を破損する可能性が高いですし当然シリコン型はダメになります。やったっけ?って迷ったら、とりあえず塗っておくようにしましょう。
10.シリコン流す(2回目)
2度目のシリコンを流します。注意事項は1回目と一緒。そのまま硬化を待ちます。
11.型から外す
硬化したら型枠をくずしてシリコンを出します。とりあえず外周の余計なヒレをニッパーで取ります、またフチの部分もニッパーとかで切っておきます、こうしてC面をとっておくとゴムでの固定がいくらか綺麗にできます。外を切ったらシリコンをガパっと二つに割って原型を取り出します。取ったら目視でよく確認して、変なとこに少し流れてヒレみたいなのができてたりしたらピンセットで取っておきます。
12.ゲートを作る
ランナーと原型とをつなぐ流路・ゲートをナイフで作ります。これは原型を埋める時点で適当なプラ材を埋めて作っておいても構いません、臨機応変に。ゲートを作る際は、入り口は狭いと流れる速度が遅くなるのである程度の大きさを確保すること。出口のほうはともかく確実に空気が逃げるように、狭くても良いので必要な個所を見極めてサボらず作ること。髪の部品なんかは、頭頂部を下にして入り口のゲートを作り、全ての毛先に出口のゲートを作るようにすると無難です。
ついでに、部品の体積が大きい場合は出口のゲートの先端(出口側)を大きくしてレジンが溜まる場所を作っておきます。レジンは硬化時に収縮するのですが、ゲートの体積を大きくしておけばこの部分で収縮を吸収しているらしく、部品本体のヒケが最小限で済みます。
13.試し抜きする
ここまででシリコン型は完成です。そしたら試し抜きします。複製については次で詳しく触れます。抜いてみて上手くいかない場合にはシリコン型に手を加えることで対処できる場合があります。例えば、どこかが気泡で欠けるなら、その付近のシリコンにV字の溝をナイフで切って上まで空気の逃げ道を作ります。注ぎ口が小さくて流す途中で大きな気泡が入るなら、注ぎ口だけを切って広げて注ぎやすくすれば解決します。こういう対処は「片方の型に湯口を設ける方法」だとできません、なので「分割面にランナーを持ってくる方法」のほうが無難で潰しが効く方法なのです。もっともあくまで対処療法なので、そもそも難しい型では完璧な複製品は無理があります、どこで妥協するかの判断は適時行いましょう。
なお、シリコン・油粘土・レジンは多分ほとんどの自治体で燃えるゴミです。現在の焼却炉は石油化合物なら基本的に燃やせるよ。空き缶については家庭ゴミで大量に出すにはマズいです、事業ゴミにしかみえません。たいていの街には金属回収業者がいて、タダで回収してくれるかむしろ小銭をくれるのでそこに持ち込みましょう。知人の工場とかに依頼してもいいです、たぶん業者が喜んで持って帰ってくれます。
レジン缶なら中身を出せるだけ出して、キャップだけしておきます。金属キャップはつけずに別の袋に入れて渡します。シリコンは取れるだけ取ってフタした状態で渡します。離型剤のビンは、フタは燃えるゴミでびんは家庭で捨てても大丈夫です。
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道具の写真
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分割面にランナーをつけた模式図
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2通りのやり方